やりたい仕事を自分で見つけ出すためには?
就職や転職をするとき、自分が行きたい会社を選び出すことは、最も悩んでしまうところです。
雑誌や転職サイトを見ながら、給与や待遇のみで判断していては、入社した後にリアリティギャップに苦しむことになるかもしれません。
仕事情報の取集にばかり時間を掛けるのではなく、職業を選ぶ段階でも「自己分析」をして業態を絞っていくことが、有効な会社選びです。
「どういった条件の会社なら自分は働けるのか?」この答えを探すために、今一度「自分が働きたい環境」を掘り下げてみましょう。
ここでは、やりたい仕事を見つけるために、掘り下げるべきポイントや、仕事探しに利用できるサービスについて紹介します。
自分が仕事に望む環境は何?
【1】どういったスタイルで働きたいか?
【2】転職者は特に意識すべき役職・待遇
【3】具体的にどんな仕事がしたいのか?
【4】どれくらいの給料がもらえるのか?
【5】働く時間や休みは?
【6】勤務地はどこがいいのか?
【7】会社の規模や仲間の数は?
【8】社風ってどんな感じなの?
仕事情報はどこで探せるのか?
ハローワーク
新聞広告
求人雑誌
転職サイト
転職エージェント
友人・知人の紹介
ヘッドハンティング
仕事をいきなり探し出す前に!掘り下げるべき「望む環境」
わたしは就職活動のときに、自分の今後のキャリアについてほとんど考えていませんでした。その結果、就職してから自分のキャリアに悩み、転職を決断したという過去があります。
ここでは、仕事を探す前に明確にしておくべき8つのことを紹介します。
【1】働き方のスタイル
当然ですが、就職・転職先の職場での実際の業務内容は「雇用形態」で大きく変わり、以下のような選択肢があります。
- 正社員
- 契約社員
- 個人事業主
- 業務委託(=フリーランス)
自分がどういった働き方をしたいのか、具体的に考えてみましょう。
- 将来の経済的安定を確保したい
- 大手正社員や公務員を目指す
- 様々な職務経験を積みたい
- 契約社員で限定的な業務をジョブホッピングする
- 自分の時間が最優先
- フリーランスなど独立系の仕事を選択する
まずは、「○という自分になりたいから、△をしたい」といったように掘り下げてみることが重要です。
【2】転職志望者が注意すべき「役職・待遇」
転職志望者がとくに注意したいのが、「役職・待遇」です。基本的に前職と同じ待遇になりますが、会社によって役職の設定が異なることもあります。
また、未経験職種への転職の場合は新人と同じ待遇からスタートもありえます。わたし自身、30代の転職の際にハッキリとそう言われました。
また、同じ会社に勤め続ける場合も、昇進や今後のキャリアについて考える必要があります。「専門職なのか?」「マネジメント職なのか?」などを、明確にしなければならないのです。
【3】職種や具体的な仕事内容
仕事の中には、実に様々な業務・職種があります。一般的に企業の部門は以下のようなものに分けられます。
- 経理・人事・総務
- 企業を運営する役割を担う「ほぼ全ての業界で存在する職種」
- 営業・開発・技術
- 事業の生産活動の役割を担う「各業界特有の部門」
業種に関しては、初めての就職の場合は、大学や高校の専攻が影響します。転職の場合には、現職の職種に近い業種に転職する方がリスクは低くなります。
自分がやりたい仕事が未経験業種である場合は、「やる気」はもちろん「資格」や「付随する経験」が必要です。
未経験業種を目指す前に、資格の取得や業界の知識を深めるなどの事前準備をしましょう。
【4】希望給与額と最低必要額はどれくらい?
「給与待遇」はやはり重要であり、「自分がどういった生活を送りたいか?」で必要な金額が変わります。
とくに計算すべきは「毎月の最低必要額」です。これから就職する人ならば、現在よりも収入が増えることがほとんどなので、最低必要額の見積もりは低くなりがちです。
ただ、転職を考えている人は「給与が現在より下がる」こともあります。生活水準も確立されているので、「今より下がっても大丈夫か?」という点には注意を払いましょう。
中途採用では給与面がネックで不採用になることもある
中途採用面接で不採用になる理由の一つに「給料の折り合いがつかなかった」というものがあります。希望も大事ですが、志望会社の給与水準は理解しておきましょう。
ボーナスの有無は年収に大きく関わります。また、昇進や昇給のタイミングも影響も無視できないので、転職時期も注意すべき項目の一つです。
各社のおおよその生涯年収が『四季報』などでわかりますが、年齢や役職でも大きく異なります。転職エージェントを活用して、直接確認するという方法もあります。
【5】働ける時間帯・欲しい休日はどれくらい?
同じ業務形態の企業であっても、始業や終了の時間帯が違うケースがあります。
- A社:9:00~17:30
- B社:8:30~17:00
- C社:9:00~18:00
始業時間は通勤のしやすさにも影響するので確認必須です。
最近では裁量労働制も普及しており「フレックスタイム」などの勤務体系もあります。裁量労働が適用される業務に関しては厚生労働省のHP内でも紹介されています。会社に関わる業種としては以下のようなものがあります。
- 新商品,新技術の研究開発
- 衣服、インテリアなどの新しいデザインの考案
- 番組のプロデューサーやディレクター業務
- ゲームソフトの創作業務
資格が必須である以下の業務についても裁量労働が適用可能です。
- 公認会計士
- 弁護士
- 弁理士
- 税理士
- 中小企業診断士
コアタイムの有無にも注意
一般的には「コアタイム付き」のフレックス勤務が多いのですが、「完全裁量労働制(コアタイムなし)」の企業もあります。
「完全裁量労働制」の場合、残業時間の取り扱いが不透明になりやすいので、会社に直接確認するか転職エージェントなどを通して確認してもらいましょう。
交代勤務はとくに確認が必須
製造業のラインマンなど、交代勤務のある会社に就職する際には「夜勤」はもちろん「休日出勤」があります。これも工場によりますが「24時間稼働」や「年中無休」などの場合は休日出勤を覚悟しましょう。
「二交代勤務(12時間勤務)」や「三交代勤務(8時間勤務)」といった違いはもちろん、「何組で交代勤務を回すのか?」は重要です。
こういった職業を選ぶ場合は、自分の体はもちろん、既婚者の場合は家族への影響も大きくなります。「自分がどの時間帯で働きたいか?」を決めておきましょう。
残業の取り扱いは注意が必要
同時に、残業に関しても忘れてはいけません。基本的に残業がない企業はほとんどありませんが、下記の確認は必須です。
- 36協定の設定時間が高くないか
- サービス残業が多くないか
残業は避け難いことですが、業界・業種で残業量はある程度判断がつきます。参考までに残業が比較的多いとされる業界を紹介します。会社による差もあるのであくまで参考レベルです。
メディア系(広告・テレビ等)
新聞や広告といった「納期がタイト」な業種であるメディア系は、残業の多さでは有名です。テレビ業界のプロデューサー業務やディレクター業務は、不規則な時間帯での業務でもあるため「裁量労働」が許されています。
IT系
IT系の残業の多さは有名です。とくに納期が迫っている場合や、新規ソフトウェア開発のタイミングでは人の力が必要な業務が多いため、どうしても残業が多くなります。
また、他の会社とのプロジェクト体制で行う仕事もあります。全体の足並みを揃えるために負荷が掛かりやすくなります。ゲーム開発業など「裁量労働」が認められる業務があるため、残業時間の管理が曖昧になるケースがあります。
これからも成長が期待できる需要が高い業界ですが、残業の点は事前に理解しておきましょう。
外食系
外食の中でも、マネージャークラスは残業が多くなります。店舗の運営管理を任されることもあり他の人に任せることが難しいのが実情。
お店の運営時間はもちろん、それ以外の時間で以下のようなことに時間を取られることがあります。
- 経理業務
- 本部との連絡・調整
- 社員・バイト教育
【6】勤務地と通勤時間は
勤務地に関しては、人それぞれに考え方があります。家庭環境などが理由で絶対に譲れない人もいるでしょう。
「勤務地」は、「自分が住みたい場所」を考えることにもなります。地元に住みたい人はもちろん、都市部や田舎などでも生活環境は違うため、仕事を続けていく上で非常に大切です。
最近は海外に展開する会社も増えているので、海外勤務の可能性の有無はもちろん、そうなった場合に自分は受け入れられるのかも確認しましょう。結婚して家族がいる場合は単身赴任の可能性もあるので、家族の意見を聞くことも重要です。
【7】会社の規模・従業員数は?
会社の規模や従業員数も重要です。仕事をする際に「どれくらいの人と関係を持つ必要があるのか?」はもちろん、業務内容に対して人数が少ないと一人一人への負担も大きくなります。
また、大企業であっても部署によって人数差があるので、企業の事業拠点数や部署は確認しておきましょう。
【8】社風や職場環境は?
社風や職場環境も重要ですが、この点はなかなか把握しにくいのが現状です。会社によっては、親会社がある「系列系」や、独自に事業拡大を行った「独立系」、外資が入っている「外資系」などがあります。
「独立系」なら、創業者の考えが色濃く出るため、その人柄などがわかるといいでしょう。「外資系」はご存知の通り、仕事の結果に対してシビアですので、実力次第では稼げる反面、給与格差が大きくなるのも事実です。
職場環境は、仕事を行う上ではかなり重要な項目です。どんなに自分が好きな仕事であっても、相談しにくかったり、若手や転職者の意見が通りにくいところでは精神的なストレスが溜まります。
掲示板情報に頼りすぎない
こういった情報を取得するためには、四季報などの雑誌はもちろん「企業掲示板」などもあります。
ただ、企業掲示板を信じすぎるのはやめましょう。部署によって違う上に、その意見は企業を代表した言葉ではなく「その人の価値観」で書かれたものです。あなた基準でないと環境の良し悪しはわかりません。
転職をする場合は、転職エージェントを通して採用予定部署について人事に確認するなどの方法があります。
先にスタンスを明確にしておきますが、わたしは就職や転職において口コミ掲示板にハマることを良しとしません。 わた …
実際に仕事を探すときに役に立つ求人媒体
際に自分が行きたい企業を探すときにはいろいろな手段があります。ここでは、求人情報を集められる媒体を紹介します。
ハローワーク(公共職業安定所)
言わずと知れた国の職業紹介施設で「公共職業安定所」のことを言います。未経験者の就職や失業者の再就職はもちろん、現在会社に在職している人でも転職活動に利用できます。
地元に根ざした企業も多く、Uターン転職やその地域から出たくない人は率先して利用するケースが多いようです。求人の案件数としてはかなりの数がありますが、多くが「中小企業」からの募集であり、大企業や有名企業などを狙う人にとってはあまり活用の意味はないかもしれません。
仕事の詳細について知識を深める情報を活用しよう
ハローワークインターネットサービスでは、単に求人情報を紹介するだけでなく、日本にある仕事の職務内容や特定の仕事に就労するために必要な資格や能力などについて説明しているページがあります。
就職や転職をする上では、職業に対する理解も非常に重要になります。無料で閲覧できますので、仕事理解に活用しましょう。
求人情報以外の支援サービスの活用も視野に入れよう
ハローワークでは、職業訓連などで雇用保険のサポートを受けて安く職業能力を向上させるためのセミナーを受けることもできます。
スキルアップを図りたい人などは、直接的な転職以外での活用も可能です。ハローワークでは職員が直接求人を探してくれるわけではなく、膨大な求人の中から自分にマッチしそうなものを探すのは骨が折れます。
新聞広告
新聞広告や折り込みチラシの求人募集を活用するという方法です。求人の掲載は日曜日に乗ることが多く、新聞によってもメインとなる業種に違いがあります。
- 朝日新聞
- マスコミ・広告関係、事務系
- 読売新聞
- サービス業関連
- 日経新聞
- 外資系企業、金融系企業
といったように傾向が違いますので、自分が望む業界にあった新聞を確認するようにしましょう。
折り込みチラシでの求人募集の場合は、地元企業の情報が多く掲載されます。地元での仕事を探す人には便利でしょう。広告費を出すだけで掲載枠を確保できることもあり、地元の新進気鋭のベンチャー企業などが求人広告を出すこともあります。
求人情報誌
雑誌型の刊行物で「タウンワーク」などが該当します。1冊丸々が求人広告ということもあり掲載数は豊富です。地域別や職種・業種別に掲載されていることもあり、自分に合いそうなページを集中的に読むことをお勧めします。
バイトレベルの仕事ならば「an(アン)」や「バイトル」など数々の雑誌があります。
人材紹介会社(就職・転職サイト)
最も利用者が多いのが「転職サイト」です。有名なところとしては以下のものがあります。
- リクナビ
- doda
- マイナビ
- エン転職
- indeed
転職サイトは、総合的な就職・転職情報を扱うものもあれば、特定の業種に特化したサイトもあります。
などの業種はもちろん「外資系」「海外企業」に強いものもあります。
扱っている企業は、中小企業はもちろん上場の大企業が多く、ハローワークやタウン誌よりも条件等を見るとレベルが高く感じられます。最近では検索条件も細かく設定ができるようになっており、給料や休みの設定など幅広い検索ができます。
サイトによって扱う企業や得意な企業が違うため、複数の転職サイトを活用する人が多いです。
転職エージェント
転職エージェントでは、あなたにサポート担当者が着いて以下のような支援をしてくれます。
- キャリアカウンセリング
- 求人の紹介・詳細情報の開示
- 履歴書や職務経歴書の添削・修正
- 応募の代行
- 採用試験の日程調整
内定後も入社までのフォローをしてくれるので、まさに手取り足取りといった感じです。
転職エージェント会社のサイトで経歴を含めた情報を記載後、実際に担当者と面談(対面や電話)を行ってあなたの要望や現状を確認してからサポートスタートとなります。
この「転職エージェント」に関しても「転職サイト」と同様に、得意な業界が異なっています。
- 大手総合サポートが可能
- リクナビNEXT、doda
- 第二新卒やフリーターの紹介に強い
- ハタラクティブ、JAIC
- ITエンジニアに強い
- レバテックキャリア
- 外資、ハイクラス系の求人が豊富
- ビズリーチ、JACリクルートメント、Spring転職エージェント
- ものづくりエンジニア
- メイテックネクスト
また、各企サービス会社で持っている求人案件に違いもあります。当然共通の案件もあります。
転職活動を効率的に進めるなら「複数登録」して「複数同時進行」が重要です。わたしも同時に3社の転職エージェントを利用しながら、同時並行で採用試験を受けていました。
友人・知人など第三者の紹介
意外と就職や転職の際に利用されているのが、「第三者の紹介」です。友人や知人はもちろんですが、親戚などからの紹介されるケースが多いのが特徴です。
コネによる入社となると、他の社員からの冷たい眼差しが気になるかもしれませんが、そこはしっかりと自分の力を示していけばいいでしょう。ただ、当然ですが業種は限られてしまい、自分が望むような求人と出会える可能性は極めて低くなります。
それどころか妥協による就職・転職が多くなってしまうのはもちろん、紹介してくれた人にも頭が上がりにくくなるでしょう。せっかく入社したのに辞めてしまった場合などは、顔に泥を塗ったと言われかねません。
まずはしっかりと自分の手で仕事を探し、最後の手段的な位置付けで考えておくのが良いでしょう。
ヘッドハンティング
ヘッドハンティングは、得意先やライバル企業から声をかけられたり、ヘッドハンティング専門サイトを利用しての声かけなど多様化しています。特に多い業界・業種は以下の通りです。
いずれも経験はもちろん”実績”が必要となる業界・業種になります。IT業界は、プロジェクト形式で関連会社と一緒に仕事をすることもあり、優秀と認められればその場で声が掛かることもあります。
これからも伸びる業界なので、既にIT系に属している人は積極的に他社とのプロジェクトにも参画してみましょう。
製造業の開発・研究職に関しては、直接的にノウハウが活かせるケースも多く、開発のリーダークラスなど直接顧客に接する立場の人は得意先から声がかかるケースもあります。
外資系企業は、ノウハウも含めて人員を欲しがる傾向にあります。自分の経験と能力がそのまま給与に反映されやすい「外資系」に興味がある人は、ヘッドハンティングサイトに登録してみるのもいいでしょう。
まとめ
仕事の探し方に関しては、目先のノウハウに興味がある人が多いのが現状です。
- 転職サイトでどういった検索をすればいいか
- 穴場の求職案件はないのか
ただ、就職や転職をする際には下記のような点を考慮することも重要です。
- 今後のキャリア形成で大事なものは何か
- どういった職場環境なら長くその仕事を続けていけか
まずは、自分が求めることを徹底的に自己分析してみましょう。