30代の転職は「未経験に固執」はNG!求人を見定めて失敗リスクを減らすには?

少子高齢化による人材不足もあり、引き続き転職市場は活況となっています。疫病や外国経済の影響などの外部要因によって、中途採用の求人数の増減はありますが、人手が足りない状況には変わりありません。

30代の転職に関しては、35歳の転職の壁もほぼ無くなり、20代の転職ほどではありませんがポテンシャル採用もあります。30代で未経験職に転職を考える人もいるでしょう。

ここでは、30代で転職を考えている方々が、転職活動で足を踏み外して転落しないように30代の転職活動のポイントを紹介していきます。




30代の転職市場状況

30代の転職市場での需要状況について、2016年度のデータではありますが、職業別の中途採用者の年齢別割合のデータを確認してみましょう。

アンケート回答者数100人以上のデータのみを抜粋していますが、「管理的職業」を除くほとんどの職業において、30代の転職者が採用されていることが見て取れます。

30代の転職希望者は、転職市場においても需要が高いということが分かります。

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いずれも検索できる求人数のみを記載。これに加え、非公開の求人もあります。

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【全記録】運営者の30代リアル転職体験サイト内別記事へ
注意詰め込みすぎたのでちょっと長いです(汗)お時間ある時にご覧ください(_ _)

30代の転職はやり直しが効きにくいリスクはある

30代の転職の需要は、リーマンショックなどの不況時に比べて、企業側の人材確保意欲の高まりにより女性・男性ともに向上しています。ただ、30代での転職はやり直しが効きにくいという危険性もあります。

30代の転職では、20代以上にキャリアアップや待遇の改善・向上を求めて活動をする人が多いでしょう。しかし、30代の転職で企業選定に失敗してしまうと、年齢を重ねるほど転職ハードルが上がります。

自分の経歴の中で転職が多くなるとマイナスイメージを与えるのはもちろん、年齢が上がるにつれて求められる能力が「マネジメント系の力」になる傾向が強ためでもあります。

0代での転職活動は、やり直しが効きにくいという背景から、失敗するわけにはいかないのです。

30代の転職は未経験より経験を活かしたほうがいい

30代での転職の場合、20代に比べると未経験の職種への転職成功率は極端に落ちます。

下記に志望業界・志望職種と転職成功度の相関を示しますが、「異業界・異職種」への転職の難易度は群を抜いており、相当の努力がないと転職することはできないでしょう。

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私自身、ハローワークはもとより、転職エージェントを利用しているときにも「未経験業界・職種」への応募を行いましたが、特にやりたいことがはっきりしていないこともあり、通過したのは2社のみ。しかも明らかにブラック企業な雰囲気が漂っていました。

30代で転職を決意した場合は、女性・男性ともに「同業界・同業種」を軸に持ってくることが最もベストの選択となります。当然の理由ですが、転職志望先の企業も求めているのは「自分の会社で即戦力として働いてくれる人材」だからです。

30代の転職で求められるもの

30代の転職において企業側から求められるものとして、「リーダー経験」「マネジメント経験」があります。

30代前半ならばスキルや実績も重要視されますが、それだけではライバルと差をつけることは難しく、ある程度「リーダーとしての実績」というものも確認されることになります。この2つに関しては、年齢が上がるほど求められやすくなります。

どの会社においても、30代から40代はグループリーダーや課長といったクラスが多く、当然30代での転職を考える企業でも将来を見据えてた管理能力が求められます。

とはいえ、環境によっては管理職クラスで働けないケースもあるため、30代での転職活動においては、リーダー業務に類似した経験をアピールすることが重要です。

  • 特定の期間のプロジェクトでリーダーを務めた
  • ある開発品のチームリーダーとして他部署と折衝して上市した
  • ○○会社への営業短期フォローチームでリーダーとして△の利益を上げた

などなど、規模の大小や期間に限らず、まとめ役として働いた経験は、十分リーダー業務としてアピールできます。

どんな人も、30代まで働いている中で少なからず大なり小なりのマネジメント経験をしているはずです。これに関しては、自分が今の会社で行ってきた業務を振り返れば必然的に見つかります。

また、30代であっても「転職エージェント」のサービスを活用すれば「職務経歴書」をもとに相談することで、そういった経験を抽出してもらうこともできます。




31歳で転職した管理人の活動履歴

わたし自身、過去に転職活動を行っています。職業としてはメーカーの技術・開発職になります。会社を辞めて約9ヶ月後に現在の職業に転職しました。実際の転職活動期間は3ヶ月ほどです。

当初はハローワークや転職サイトも活用していましたが、転職エージェントと面談を行ううちに、自分にとって転職において求めている重要なポイントが分かってきたため、30代の転職に比較的強いエージェントを活用しながら転職活動を進めました。

実際には、5社の転職アドバイザーを活用しましたが、転職活動の結果は以下の通りです。

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31歳での転職活動中に、メインでサポートが進んでいた転職エージェントは、リクルートエージェント(A社)とdoda(B社)の2社です。A社とB社の紹介企業を同時並行的に試験を受けることもありました。書類の通過率は17%程度で、いかに業種・業界と自分の経験のマッチングが重要かを認識しました。

C社からは幾つかA,B社と類似した業界・業種の求人案件を紹介いただきましたが、書類選考で不合格となりました。また、急遽外資系企業から面接のオファーがあったのですが、辞退しています。

D,E社は、サービス登録後に指定の手続きを行いましたが、最終的には連絡をいただくことはありませんでした。後述しますが、おそらく私の職歴と「転職エージェント」が扱う求人の間にマッチングがなかったのでしょう。

職業紹介事業は「全件受理」が原則ではありますが、紹介するサービスがない以上は提供できないというのは一般的なサービス業と同じです。

転職エージェントのサポートの流れ

転職エージェントを活用する際には、以下のような流れで転職エージェントはサポートを進めます

  1. 求職者がエージェントに登録
  2. 登録情報をもとに、面談に呼ぶかどうか判断
  3. 登録しても紹介求人が無い、社会人として信頼できない等と判断されれば、このタイミングで「紹介求人が無い為、お手伝いできません」のような旨のメールが送られる場合もあります。
  4. 求職者に連絡を取り、面談の依頼(電話や対面など状況による)
  5. 転職エージェントと登録面談実施、経歴・希望条件を確認
  6. 希望の転職条件をもとに求人をサーチ、紹介
  7. 求職者より応募依頼があった求人へと推薦手続き、以降内定・入社までの進捗フォロー

転職エージェントを活用する上で、特に重要なのは「4.登録面談の実施」です。

ここでは、あなたが転職する際の志望業界などの確認はもちろんですが、職務経歴などに沿って、あなたがどんな人間で、仕事を通じてどんな失敗や成功の経験を積んできたかを確認されます。

この情報から、あなたを総合的に判断して今後の求人の提案内容を決めます。

つまり、ここでズレが生じていると、後々の活動に遅れが生じたり、最悪の場合は望まいない企業への転職となってしまう場合があります。

この「応募者との面談」の時点で掘り下げが少ないようなアドバイザーの場合、望まない求人紹介等をしてくる可能性がありますので、他の転職エージェントも視野に入れながら活動しましょう。

転職サイト絞り込み検索補足選択する6項目は「希望地域」「年齢」「性別」「雇用形態(現職と希望)」「希望職種」です。

転職エージェントの最大のメリット「求人の質」

転職エージェントの最大の特徴といえば質の高い求人が挙げられます。しかも、その求人は一般には公開されていない「非公開求人」である場合がほとんどです。

転職サイトに掲載されている求人は、いわゆる「公開求人」であるため、広く一般的に公開募集することが可能な求人ということになります。したがって、専門スキルがそれほど必要ないものや、経営的にも公開して問題ないもののみとなります。

しかし、高いスキルや特殊な専門性を求める求人は対象者がそもそも少ないので、サイトに掲載しても採用がうまくいくケースが少なく、見当違いな応募ばかりで人事の手間が増えるだけになります。

そのため、比較的レベルの高い求人は非公開求人として、転職エージェントのみに伝えられることになるわけです。

その他の理由として、ある程度有名な企業になると、今後の経営戦略のために特定の部門の人間を増やすことも行いますが、そこで「公開求人」で応募してしまうと、競合他社にもその情報が流れるため事業戦略を先読みされる可能性があり、それを避けるために「非公開求人」にするという意図もあります。

転職エージェントを利用するということは、こういった他に公開されていない求人先に対して、推薦を受けれるような立場になれるというメリットがあるわけです。

転職エージェントから受けたサービス内容

私の転職活動では、基本的に2社の転職エージェントと比較的多めにコンタクトを取りながら、1社からも時折スポット的に求人情報をもらいながら活動を行っていました。

その中で、転職エージェントが実際の転職活動の中でどのように関わっていたかを紹介します。

【1】非公開求人の紹介

転生エージェントの最大の利点である「非公開求人」の紹介。自分の志望に沿って、様々な求人を紹介してもらえます。30代での転職ではありましたが、「非公開求人」はかなりヒットしていました。

ここで少しでも自分の理想の求人情報を得たいと思うならば、面談等でしっかりと希望を伝えることです。「何が良くて、何がダメなのか?」等の基本的なことから、競合会社を避けて欲しい等の要望も必要です。

私も最初は希望先がぼやけていたため、求人案件では迷惑をかけました。しかし、活動を進める中でも修正はできます。活用する場合には、自分に合っていないと思ったら、必ず拒否をするようにしてください。

わだかまりがあったまま転職しても、その企業で満足できる可能性が限りなく低くなります。

【2】応募の実施代行

求人を紹介してもらった後、実際に選考試験を受けたいと思ったら、転職エージェントにその旨を伝えます。その後、その企業が必要とする書類の案内を受け、書類を作成して提出します。また、転職エージェントからは推薦文のようなものを企業側に提出いただいているようでした。(これは、私の経験ですので一概に全員が同じ対応を受けられるとは限りません)

転職エージェントには、自分の事は細部まで知ってもらったほうがいいでしょう。仕事をする上でも、相手のことをどれほど身近に感じるのが重要かは30代の社会人ならばある程度分かると思います。

【3】SPIなどの筆記試験フォロー

各会社に、直接的に筆記試験対策のためのサービスはありませんでしたが、オススメの参考書などの情報を教えてもらえます。

意外と油断してしまうのが、このSPIなどを含めた筆記試験対策ですので、最低限の準備はしておきましょう。最近では「web試験」などを行う企業も増えています。

【4】面接試験日のアポ取り

面接日のアポ取りは、仕事に勤めながら転職活動を行う人にとっては非常に手間がかかるでしょう。この点も、エージェントが代行で調整してくれます。

離職後の転職活動ならまだしも、在職中の転職活動ならばこの恩恵は計り知れないでしょう。

30代以降は、一般社会においても中堅層という位置付けになっており、会社にとっても最も活動が豊富な年代です。それに伴い、なかなかプライベートな時間はとりにくくなります。当然、転職活動に割ける時間も減ってくるでしょう。

そういった状況であるため、隙間時間でも効率的に転職活動を続けるためには「転職エージェント」を活用することが必須となります。

【5】模擬面接

面接日が決まった後には、実施に模擬面接形式で面接前のチェックを行っていただきました。

入室の仕方から、受け答え時の姿勢、各種質問に対する回答内容など、様々な面でチェックを受けました。当然このサービスは対面式だからこそという面はありましたが、30代での転職ともなると、やはり就職試験の時よりも緊張感が薄れていたため、基本に立ち返ることができました。

自分の経歴のどこをプッシュすればいいか分からない、転職理由をどう伝えたらいいか分からないといった悩みに対して、適切な伝え方、PRの仕方をアドバイスいただきました。

【6】面接で聞きにくい事項の確認

転職エージェントを活用する上で、これは絶対に活用した方がいいと感じたのが、「求職者では聞きにくい質問の代行」です。私が前職を辞めるきっかけでもあった、「給与面」「残業面」に関する質問を、志望先企業に実施いただきました。

【7】面接の辞退連絡

複数の会社を受けていると、当然試験を通過したとしても、自分の希望に沿わない会社が出てきます。そんな時に、次の試験へ進むことを辞退する際にも、転職エージェントが代わりに調整を行ってくれました。

【8】内定後の入社手続き仲介

内定後は、入社までに様々な手続きがあります。その手続きの内容を、転職先の人事部に確認し、必要な書類はもとより、健康診断の案内など様々な手続きのフォローを実施いただきました。

また、この段階でも務めることになる企業に対して「質問事項がないか?」等の細かなフォローを実施いただきました。

転職エージェント活用の3つのポイント

今のキャリアからのステップアップ転職に有利な「転職エージェント」ですが、せっかくのサービスもうまく活用しなければ、転職活動自体がうまくいかないばかりか、自分が望んでいないような企業へ転職してしまう可能性も出てきます。

ここでは、転職エージェントを活用する際のポイントを3つ紹介します。

【1】転職エージェントにも礼節を尽くす

これは一番意識してください。相手も人間であり、サービス業を行う社会人です。飲食店や販売店などで、店員さんに上から目線で注文する人を見ると、たいていの人が不快に感じると思います。

礼節を尽くすということは「礼儀正しくする」というだけではありません。相手からの確認や連絡に対してはしっかりと「レスポンス」をしてください。忙しいからといって返事を返さないと「本当にこの人は転職する気があるのか?」と思われ、当然サポートの優先順位は落ちます。

なぜなら、エージェントも常に複数人のコンサルを行っているからです。通常で20人程度、繁忙期では40〜50人の求職者を抱える場合もあります。そのような状態である場合、あなた自身、やる気がない人には親身になってサポートしようとは思わないですよね?

それと同じことで、しっかりと「礼儀をもって」「確実に反応を返す」ということを徹底しましょう。

【2】転職エージェントは複数活用する

転職エージェントは複数活用するべきです。その理由には大きく2つあります。

エージェントによって得意なジャンル、求人数が違う

大きな理油としては「転職エージェントによって得意な求人先が違う」という事です。同じ求人を扱っている場合でも、志望先の企業とのつながりの強さというものが、転職活動にも影響してきます。

ある意味、転職エージェントは我々求職者を「推薦」してくれる立場にあるわけです。この推薦者の力の差というものは、それだけあなたの転職活動にも影響してきます。

転職エージェントには、特定の業界に強い「特化型」と求人数が多ジャンルに渡る「総合型」の2つがあります。

「特化型」のように特定のジャンルに強いということは、当然その業界の多くの企業と太いパイプを持っていることになります。転職志望先のジャンルに合わせて、様々なエージェントに登録し、その求人内容から利用先を絞るというのも重要な転職戦略です。

登録してもサポートが受けられない場合がある

転職エージェントに登録したとしても、あまりにも志望先とのマッチングが取れない場合は、支援を断れらることもあります。要は、その人に紹介する求人がないということです。サポートを受けられないままズルズルといってしまっては、転職自体が遅れていきせっかくの人生の一大決心がどんどん鈍っていきます。

ですので、複数登録をしておき「サポートを継続的に受ける」ことができる環境を整え、「転職活動(応募、面接)を継続的に行う」ことによって、活動のレベルを上げていく必要があります。
私自身、転職活動の最初の方は書類自体通過しませんでしたが、しだいにマッチングが取れるような企業も見つかり、面接での受け答えも回を追うごとに、自分の意志を明確に言えるようになっていきました。

転職活動においても、ある程度の「経験の積み重ね」は重要なことなのです。30代での転職であっても、転職の経験値はあまり無いでしょう。いきなり志望先の企業を受ける前に、場馴れというものは行う必要があります。

基本的には30代であっても、転職活動にかかる期間は「2〜3ヶ月」が一般的です。この間にしっかりと自分の希望する条件の会社に転職できるように、30代だからこそ、濃い転職活動を行いましょう。

【3】サービスはとことん活用する

転職エージェントのサービスを活用する際に、多くの人は「面接のアポとり」や「書類作成のアドバイス」などを受けて終わりだと思いますが、事前の模擬面接などのサービスも活用しましょう。

どんなに一人で準備をしたとしても、志望先の企業は「人事活動のプロ」が相手になります。ですので、事前にエージェントと面談の練習を行うようにして、面接のポイントを振り返るようにしましょう。

また、面接時には志望先の企業に聞けない多くのことがあります。

  • 給料
  • 有給休暇の取得状況
  • 残業の状況
  • 福利厚生

などなど、これらのことを面接で確認するのはあまり得策ではありません。

転職エージェントはこういった聞きにくくも重要なポイントを求職者に代わって確認してくれますので、悩みや確認したいことはドンドン相談するようにしましょう。

そのように具体的なサポートを求められるほうが、エージェントのやる気も上がりますし、支援する上でのポイントが明確になり、転職のコンサルを進めやすくなります。

まとめ:30代の転職は未経験に固執しない

30代の転職について、転職活動を視点してくれる転職エージェントの詳細などを交えながら説明してきましたが、いかがだったでしょうか?

  • 30代は転職市場においても需要が高い年代
  • 30代が未経験転職に固執するとやり直しに苦労する
  • 30代の転職ではマネジメント経験が求められ始める
  • 転職エージェントを活用することで求人が見つからないリスクを減らすことができる
  • 転職エージェントはパートナーという意識で一緒に転職というゴールを目指す

30代での未経験転職は以前よりも行いやすくはなっていますが、転職先が自分にマッチしなければ、再度転職活動を行う羽目にもなりかねません。

転職エージェントを活用するなど、少しでもリスクを下げてじっくりと転職活動を行いましょう。