会社を退職する際や、転職に悩んでいるのはあなただけではありません。しかし、退職前には自分の今後について冷静に考えることも重要です。
ここでは、退職前に考えるべきことと、退職にあたっての不安点と対策について、いくつかのデータを交えながら説明します。
既に転職先が決まっている人など、次の行動が決まっている人は「2.退職に関するデータ」以降から読み進めていただければ幸いです。
「こんなの当たり前!」と思う内容もあるかもしれません。ただ、悩みが深いほど、この「当たり前」なことを忘れてしまうことがあるので、注意が必要です。
1.【大前提】退職後の行動を決めていますか?
転職は今の問題解決につながらなければ意味がない
資格があってもすぐにその仕事には就けるとは限らない
2.転職に際しての不安ランキングのトップは「退職交渉」
退職交渉にはそもそもどれくらいの期間が必要か?
3.自力退職交渉を進める上での7つのポイント
4.退職拒否や残業代未払いなどが起こり得る場合の対処法
【大前提】退職した後のことを考えて行動していますか?
このページをご覧になられる方は、何かの理由で退職が頭によぎっており、情報集めをしている人や退職の意思が固い人もいるでしょう。
大前提ですが、あなたは退職した後のことについて考えているでしょうか?
- 既に転職先は決まっているから大丈夫!
- 退職してやることは決めている!
といった状態ならば大丈夫ですが、以下のような状態なら一旦時間をおいて考える時間を設けましょう。
転職は今の問題解決につながらなければ意味がない
退職を考える理由は人それぞれですが、厚労省のデータでは、以下のような退職理由が上位を占めていることがわかっています。
「人間関係のトラブル」「給与が少なかった」「労働条件が悪かった」などの会社の環境起因が多いですが、それだけではありません。
- 仕事内容に興味が持てなかった
- 能力等を活かせなかった
などの、自分の価値観とのズレを退職理由にあげる人も多いのです。
次の会社が、現職より自分の仕事価値観とマッチしていなければ、退職は大きなリスクとなりかねません。そのため、まずは自分の仕事に対する価値観を見直す必要があります。
キャリアを考えることは人生を考えること
働く上でよく出てくる「キャリア」という言葉は、単純にどういった仕事に就いてどのように働くかという意味だけではなく、人生全体に関わるものとされています。
例えば、キャリアコンサルタントも関わっている「日本キャリア開発機構(JCDA)」では、これまでの「経験」によって意味づけされたものと捉えられています。
現在の職業は、過去の経験によって選択されており、退職や転職といった考えに至ったのも過去の経験が影響を与えているという考え方です。
少しフワッとしてわかりにくいと思うので、もう少し具体的で分かりやすいものとして、「ドナルド・E・スーパー」というキャリア研究家の定義があります。
「自己概念」という言葉は、「ありたい自分」と言い換えることができます。キャリアとは、その人の立場や時期によって果たすべき役割が変わりつつ、「ありたい自分」になろうとする事なのです。
以下のようなさまざまな出来事によって、自身の役割に対する不足や不満を感じた時、転職や退職といった考えが浮かぶと考えられます。
- そもそも自分がやりたい仕事ではなかった
- 結婚してもっと安定した給与が必要になった
- その土地で働きたかったのに転勤になってしまった
- 上司のために頑張っていたが上司が変わってしまった
- 異動によって自分の好きな仕事からズレてしまった
このような変化への対応について、「職業価値観」について研究を行ったスーパーは、晩年に以下のような「14の職業価値観」を提唱しています。
働くにあたり、多くの人がこの「14の職業価値観」のいくつかを選択しながら、役割を果たしていくと考えられています。そのため、自分が優先する職業価値観と現職の環境がどういった点でズレているかを、一度冷静に分析することも重要です。
就職や転職は自分の価値観だけでは決まらない
職業価値観を明確にしても、それだけでは希望の仕事に就職や転職できるとは限りません。E・シャインというキャリア研究家は、職業選択において「Will」「Must」「Can」の考え方の重要性を説いています。
求職者は、どうしても「Will」を重視してしまいますが、雇用主である企業側は「Can」を重視します。それは、企業側が利益を継続的に出して存続しなければならないからです。それは経営者自身のため、社会のため、そして自社の社員の生活を守るためにも欠かせないものです。
つまり、あなたの職業価値観「Will」を満たしている企業でも、あなたの「Can」が不足していれば採用され難いのです。そのため、今後その企業で活躍するために必要な「Must(備えるべきスキルや経験)」を意識した行動も必要となります。
「企業側の目線に立ってみる」ことは非常に重要です。自分の「Will」を全て満たす企業がないことは心得ておきましょう。
転職エージェントサービスなどを活用してみる
自分の「Will」を満たす企業を自分で見つけるのはもちろん、企業側が本当に求めている「Can」を自分で判断するのは難しいため、転職エージェントなどのサービス活用も重要です。
当サイトでは、わたし自身が実際に転職活動で使用した転職サービスをおすすめしています。自分の価値観を振り返りつつ、具体的な求人情報の詳細を得ながら業界や興味のある企業についての情報を取得することが、今後を具体的に考える上で役立ちます。
補足選択する6項目は「希望地域」「年齢」「性別」「雇用形態(現職と希望)」「希望職種」です。
資格があってもすぐにその仕事には就けるとは限らない
資格取得は素晴らしいことですが、資格を取得したからといってすぐに即戦力にはなれません。企業が求める「Can」の中の、「実務経験」が不足する恐れがあるのです。
また、就職してからその仕事の実情を知って、自分に合わないと感じることもあります。つまり、「Will(やりたい)」を満たすと思っていたのに、そうではなかったと後から気づく恐れがあります。
難関の国家資格であれば、最短でも取得までに1年はかかります。その間に、資格に関連した仕事を調べたり、実際に企業に応募してみて実情を知るなどの行動も重要です。
「その資格を取得してどうしたいか?」といったところまで考えた上で、退職をしましょう。
就業しながら難関資格の取得を目指すなら、「スタディング」のような隙間時間活用のサービスを利用することも有効です。
中途採用で企業が求めるものには「人柄」もある
「一般社団法人JHR」は、30代以上の中高年を採用する際に重視している点についての調査結果を報告しています。
中高年採用となっており、若手であれば「ポテンシャル」が上位にくることもありますが、採用において「人柄」が最も重視されていることがわかります。
経験やスキルも重視されますが、企業はこれから一緒に働く”仲間”を探しているため、「人柄」も重視されているのです。
転職に際しての不安ランキングのトップは「退職交渉」
「職りんく」では、クラウドソーシングサービスで独自に「転職に対する不安」についてのアンケートを実施しています。その結果が、以下の通りです。
注意1アンケートでは、最大2つまで転職の不安を回答いただきました。1位は「2倍」、2位は「等倍」でデータに傾斜をつけて算出しております。
注意2アンケート回答者は、就労経験者で転職経験がある人とない人の双方を含みます。
「退職交渉の難航」を不安視する声が最も多く、2位以降の上位には「転職先への不安」や「求職活動中の生活費」などがあります。
転職活動を行う際には、前職での不満点を改善することが望ましく、そのためには企業調査や採用面接などを通して企業を分析する時間も必要です。
退職交渉は「1〜2ヶ月」が普通?半年以上と揉めるケースもある
退職を心に決めて実行に移す場合でも、退職が完了するまでには以下のような流れがほとんどです。
- 退職意思の伝達と受理
- 業務の引き継ぎ
- 退職の事務手続き
- 有給休暇の消化
「退職の事務手続き」の終了までの期間について、退職経験者にアンケートを実施した結果が以下の通りです。
- 1ヶ月
- 2ヶ月
- 半年
- 3ヶ月
- 4ヶ月
中には、会社との交渉が難航して半年以上かかったケースもあります。また、労働基準法上では「退職日の2週間前」とされていますが、実際は会社によって異なってきます。
退職交渉を進める前に知っておくべき7つのポイント
退職を決意して自力で退職交渉を行う場合は、基本的に以下のようなポイントを押さえながら進めましょう。
- 退職交渉は直属の上司にまず相談する
- 転職先が決まっていても社名は教えない
- 会社批判や現状の不満につながる退職理由は言わない
- 退職への強い意志を見せ続ける
- 交渉が平行線になったら一旦持ち帰る
- 業務の『引き継ぎ書』を作成する
- 退職交渉のログを必ず残す
【1】退職交渉は直属の上司にまず相談する
退職する旨は、直属の上司(管理職)に伝えてください。さらに上位の管理職や同僚・部下等に先に伝えると、話がこじれる可能性があります。
静かな会議室など、他の人に聞こえない場所で退職相談を切り出しましょう。どうしても時間が取れない場合は、タイミングも重要なので、メール等での初期報告も検討してください。
【2】転職先が決まっていても社名は教えない
転職先が決まっている場合は、社名や業界などの情報伝達は控えてください。とくに、転職先の業界が現職と関連が高い場合は、トラブルの元になります。
社名をオープンにしてもいいのは、退職届の提出が終了して退職手続きも終わったくらいです。退職届を受理されれば、基本的に撤回はできません。
今後関わる可能性もありますが、自分から公表してもあまり良い結果は生みません。
【3】会社批判や現状の不満につながる退職理由は言わない
会社への批判はもちろん、自分の職務や待遇への不満を伝えることは控えましょう。相手に対応されて辞める理由が無くなってしまいます。提案された改善が、本当にこれから実行される保証もないのです。
上司のタイプや人間関係の深さにもよりますが、「どうしてもやりたいことがある」と誠意をこめて伝えるなど、「退職することで、ご迷惑をおかけします。勝手をお許し下さい。」という丁寧な態度で接しましょう。
【4】退職への強い意志を見せ続ける
退職交渉の際には、「本気で退職したいんだな。慰留しても駄目だな…・・」と相手に思わせ続けることが重要です。
慰留の条件に対して迷っている素振りを見せると、退職交渉が長引いて余計に時間がかかることもあります。
【5】交渉が平行線になったら一旦持ち帰る
退職交渉が平行線になっている場合は、「一日考えさせて下さい」と伝えて持ち帰り、また別の日に「退職の意志は変わりません」と伝えましょう。
上司も、自身の評価が下がることを懸念する場合もあり、すぐには退職の意思を受け入れられません。退職交渉は、基本的には退職意思の通達と慰留の繰り返しです。
上司のさらに上級役職者への相談も必要でしょうから、丁寧に対応しましょう。上司も、時間を経ることで徐々に慰留が難しいことを悟ってくれます。
【6】『引き継ぎ書』を作成する
自身の業務を、「いつまでに」「誰に」「どのように」引き継いでいくかを記した『引き継ぎ計画書』を作成してください。まずは、A4一枚の簡単なもので大丈夫です。
退職交渉が難航していても、いずれ引き継ぎは必要です。あなたが退職する事によって、少なからず会社もダメージを受けるので、引き継ぎ書を作成して誠意を見せましょう。
【7】退職交渉のログを必ず残す
退職交渉においては、以下のようなことをメモに残すか、もしくは録音を行いましょう。
- いつ
- 誰と
- どこで
- どんな話しをしたか
また、メールのやりとりは必ず保存してください。備忘録としての意味はもちろん、自ら退職予定日や引き継ぎなどの連絡を行いましょう。
有給休暇の取得や未払い残業代がある場合は、その確認をメールで送ることも重要です。退職に際して、何かトラブルが起こった際にも証拠として活用できるので、自分の身を守るための行動を心がけましょう。
退職交渉は引き留めや圧迫拒絶などの対応があり得る
自分自身で退職交渉を進める流れを説明しましたが、途中で対応が難しくなったり、そもそも最初から交渉が困難な人もいるでしょう。
同アンケート結果によると、退職交渉においては上司や社長からの引き留めが発生するケースも多く、円満に交渉が進まないこともあります。
どうしても交渉が難しく、かつ以下のような場合は、弁護士対応型の退職代行サービス利用も検討してみましょう。
- 退職交渉をできるような雰囲気ではない
- 未払い給与(もしくは未払い残業代)がある
- 有給休暇の取得拒否といった対応を取られた
退職代行は弁護士や労働組合を活用した適法業者を利用する
「上司の引き留めが激しい」「退職を言い出せるような環境ではない」といった理由で、退職代行サービスの利用者が増えてきています。ここでは、退職代行実績が豊富で成功率100%のサービスを紹介します。
給与の未払いがあったり有給休暇の取得が怪しい環境などの場合は、退職代行サービスの活用も検討しましょう。
退職代行ガーディアン
労働組合法人が運営する退職代行サービス。弁護士と同様に、給与未払い対応などが可能。成功率は100%で、親にも連絡は行きません。価格は、正社員・アルバイト・パートで一律「¥29,800-」。
- 労働組合法人が対応する、20代に人気のサービス
おすすめ度 | 4.5 |
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依頼費用 | 対応者 | 連絡手段 |
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¥29,800-(一律) | 労働組合法人 | LINE・メール・電話 |
弁護士法人みやび
弁護士法人が運営する退職代行サービス。懲戒解雇や損害賠償といったトラブルを防ぐことができます。価格は、着手金が「¥55,000-」と弁護士相談なので高め。
- 完全弁護士対応。費用が他サービスに比べて高いが安心度は高い。
おすすめ度 | 4.0 |
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依頼費用 | 対応者 | 連絡手段 |
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着手金:¥55,000-(一律)他、オプションや実費 | 弁護士 | LINE・メール・電話 |
リスタート
(株)another choice運営のサービス。弁護士を介しての退職代行支援を実施。キャンペーン期間中でもあり、退職代行費用は「¥20,000-」で対応中。
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おすすめ度 | 4.0 |
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依頼費用 | 対応者 | 連絡手段 |
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¥20,000-(一律) | 業者担当と弁護士 | LINE・メール・電話 |
どうしてもスムーズな退職が難しい場合には、サポートサービスの活用も検討しましょう。
まとめ:退職や転職に迷ってるときの対処法
退職は、今後の人生においても大きな転機となり得ます。人によって状況は異なりますが、転職したり資格を取るなどと考えている場合は、在職中に各種サービスを利用しながら進めることをお勧めします。
どうしても今の会社がブラック過ぎる人もいるでしょうが、退職直後に生活が困難になるような状況を避けるためにも、退職代行や失業手当の期間延長サポートなどの活用も検討してみましょう。