女性の就職や転職に関わる「雇用の現状」データまとめ【参考:働く女性の実情】

2019年の令和時代になっても、引き続き労働市場は「売り手市場」となっています。そんな中、女性の就労に関する状況はどのようになっているのでしょうか?

女性には男性とは違う就職・転職の問題があります。それは、「出産・子育て」というライフイベント。この大きな人生の出来事は、就職や転職などの「雇用」はもちろん、就労場所でも「育児休暇」「時短勤務」などの支援可否など、様々な課題を抱えることにもなります。

ここでは、以下の厚生労働省の資料(主に統計データ)を参考・引用し、女性の雇用に関わる現状について紹介していきます。

女性の就労状況に関する統計データまとめ

ここでは、『働く女性の実情』や『男女共同参画白書』の統計データを基に、女性の労働力人口や雇用状況、就労状況などについての現状を紹介していきます。

女性の労働力人口は引き続き増加中

平成29年の女性の労働力人口(15歳以上年齢人口の「就業者+完全失業者」の人数)の総数は以下の通りです。

平成28年から45万人増加しており、平成23年から続いている増加の流れを維持しています。男性もほぼ同じ47万人増加しています。
労働力人口の総数に占める女性の割合は43.7%(前年比:△0.4%)と、昭和60年以降で最高の数値となっています。

共働き世帯数は伸び続けており過去最高水準

男女雇用機会均等法が昭和61年に制定され、法律上は男性と女性の就労は平等になるように決められています。それ以降の「共働き世帯」の状況に注目してみましょう。

平成4年頃に、初めて共働き世代が男性就労者のみの世帯を上回り、平成9年以降は継続的に「共働き世帯」が優位となっています。
とくに平成11年の「男女共同参画社会基本法」の制定以降はその差はさらに顕著になっていき、既婚女性の就労者が増加していることがわかります。

女性が働く環境が増えたというプラスの面もありますが、同時に、世帯収入が男性のみでは生活面などの不安が増加していると考えることもできます。

30代女性の労働力比率は改善し続けている

女性の就労状況を語る上で常に注目されるのが、女性の「年齢階級別労働力比率」です。

30代女性が結婚・出産などを期に離職することが多かったので、30代女性の労働力が極端に落ち込み、40代あたりから再度就職者数が増えるため「M字カーブ」を描くとされていました。
しかし、平成19年に比べると、平成29年では30代女性の労働力比率が10%ほど改善しており、「M字カーブ」が緩やかになっていることがわかります。

この理由としては、未婚化や晩婚化による影響はもちろん、女性の労働意欲の向上や女性の求人が改善されている効果であると考えられます。
今後は定年の延長がほぼ確実にやってくるため、60代の労働力人口が上昇する形になると予想されます。

女性雇用者数

女性の労働力人口が伸び続けているのは分かりましたが、雇用状況はどうなっているのでしょうか?

女性の雇用者数は平成28年から51万人増加しており、労働力人口の増加とほぼ同等の人数分が就労したことがわかります。
男性も69万人ほど伸びており、雇用者総数に占める女性の割合は44.5%(前年比:△0.3)と、労働力人口と同様に昭和60年以降で最高となっています。

女性就労者の継続的課題「役職者数」の現状

働く女性が増えてきている中で、「女性の役職者数」については引き続き改善が必要となる状況です。

民間企業での管理職の割合は20%以下

民間企業での、女性の係長以上層の割合をまとめたグラフは以下の通りです。

平成以降は基本的に役職者の割合は増加していますが、「管理職層」である課長職以上の割合は17.2%となっています。

女性の管理職割合の海外との比較

女性の管理職層の現状については、海外と比較するとさらに顕著にわかります。

女性の就業者の割合は、海外と比較しても遜色ないレベルです。ただ、管理職層の割合は、韓国と並んで欧州や欧米の1/3程度となっているのです。

女性の雇用課題に対する国の取り組み

女性の雇用者数や管理職の割合に関する課題への対応として、『日本再興戦略(2014年)』において「働く女性を支援する施策」が盛り込まれました。
『日本再興戦略』で掲げられている具体的な目標は以下の通りです。

2020年までに女性の就業率を73%に、指導的立場(管理職等)に占める女性比率を30%にする

この目標の達成のためには、国・自治体・企業の連携が重要であり、「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」に次ぐ、新たな法律の制定も視野に入れられています。

女性の非正規社員の割合は依然50%以上

男女の雇用問題でとくに顕著にものの一つに、正社員や非正規社員といった「雇用条件」があります。

女性の雇用条件は、平成29年の調査結果でも引き続き「非正規社員」の方が「正社員採用」よりも多くなっています。
現状すべての企業が子育て支援のための「育休」「時短」などを柔軟に受け入れられる状況ではないこともあり、雇用条件の課題は引き続き重要です。

ただ、非正規社員としての働き方を選ぶ理由には「自分の都合の良い時間に働きたいから」が上位にあり、子育てとの両立のためや仕事への価値観の変化もある可能性があります。

男女の就労者の賃金格差は改善傾向

次に、男女の賃金(所定内給与額)の差について確認してみましょう。『平成29年働く女性の実情』のデータは以下の通り。

平成29年の男女の所定内給与額は、平成28年に比べると男性は減少し、女性は増加しています。

男性:34万8,400円(前年比▲6,000円)
女性:26万3,600円(前年比△1万6,000円)

男女の賃金格差(男性を100とした時の女性の給与額)は、75.7(前年比△0.6)となっており過去最少となっています。平成29年の女性の所定内給与額は、平成17年と比べて2万4,400円増加しています。

企業での女性の活躍推進支援に関して

女性の雇用や就労における現状は、悲観的すぎる状況ではなくなってきています。ただ、男女の「役職登用」「賃金格差」などの埋め難い課題はもちろん、「出産・育児」支援の問題もあります。

ここでは、女性の就労において役に立つ支援サイトの情報を紹介していきます。

女性の活躍を推進する企業が調べられるサイト

厚生労働省では、女性の企業での活躍を支援する取り組みを見える化するために以下のようなデータベースを平成29年にオープンしています。

女性の採用や職場での役職登用などに積極的に活動している企業をデータベース化しているサイトで、以下のようなデータを確認することができます。

  • 女性の採用割合
  • 育児休暇取得率
  • 月平均の残業時間
  • 有給休暇の取得状況
  • 女性の管理職の割合
  • 子育てサポート認定企業

企業名はもちろん、「地域」「産業」「会社規模」などから企業の検索できるので、女性が就職や転職を検討する際に企業調査として利用することができます。

子育てサポートに取り組んでいる企業の簡単な調べ方

女性はもちろん共働きの妻がいる男性も、女性の就労における課題である「子育て支援」「女性のキャリア構築」に積極的な企業情報を知りたいでしょう。
現在、厚生労働省では女性の活躍支援に積極的な企業に対して、2つの認定を行っています。それが「えるぼし認定」と「くるみん認定」です。

いずれも前述の「女性の活躍推進企業データベース」はもちろん、就職・転職サイトなどで認定名を入力することで検索することができます。

えるぼし認定

女性の積極採用や職場でのキャリア構築に積極的な企業を認定する制度が「えるぼし認定」です。以下の5点の評価項目の点数に応じて3段階の認定が与えられます。

  1. 採用
  2. 継続就業
  3. 労働時間などの働き方
  4. 管理職比率
  5. 多様なキャリアコース

くるみん認定

えるぼし認定が女性の活躍を幅広く支援する企業への認定なのに対して、「子育てサポート」に優れた企業を認定する制度が「くるみん認定」です。

くるみん認定は子育てサポートに関する行動計画を策定し、就労者と共有の上で目標を達成した後に申請することで、認定が付与されます。
さらに、優良な子育て支援企業とされれば「プラチナくるみん」マークを付与されます。

くるみん認定を受けている企業:厚生労働省該当ページ

まとめ

女性の就労状況に関しては、平成の始まりから基本的には改善し続けています。ただ、雇用や賃金面などの統計データには現れていない、「子育て」や「役職・キャリア構築」に関わる現場での問題も引き続き解決すべき課題となっています。
当然ですが、女性の活躍支援に積極的に取り組める企業もあれば、そういった状況ではない企業もあります。

2019年からは令和時代となります。女性の就労に関わる各種課題が、具体的にどのようにして改善されて行くのか、データのみならず現場の声を聞きながら確認していきたいものです。