30代の平均年収はいくら?稼げる業界はどこなのか?
30代はチームリーダーや主任層、早い人では管理職に昇進することで、平均年収が20代に比べてさらに上昇する期間です。
30代での年収差は、生涯年収の差にも少なからず影響するため、自分の現在の給与水準を知りたい人も多いでしょう。
ここでは、30代の平均年収について、下記のようなデータを紹介していきます。
【注】データの算出について
30代の平均年収データは、厚生労働省の『民間給与実態統計調査』をもとに算出・グラフ化しております。
30代の平均年収の9年間の推移
他の年代と30代の平均年収の比較
事業規模別(従業員数、資本金規模)の30代平均年収
業種別の30代平均年収はいくら?最も手取りが高いのは○業界
中途採用実績のある30代平均年収以上の企業情報
まとめ
30代の平均年収はここ9年で24.8万円の上昇
2008年のリーマンショックの影響を最も受けた2009年以降、30代の年収はしばらく停滞を続けた後に直近4年間で上昇を続けています。
西暦 | 平均年収[万円] | ||
男性 | 女性 | 合計 | |
2009年 | 462.1 | 287.7 | 399.8 |
2010年 | 468.5 | 295.5 | 407.6 |
2011年 | 465.9 | 294.0 | 405.1 |
2012年 | 464.5 | 294.5 | 403.0 |
2013年 | 468.3 | 295.5 | 404.6 |
2014年 | 474.2 | 296.8 | 408.5 |
2015年 | 480.1 | 303.1 | 414.9 |
2016年 | 484.2 | 307.3 | 418.1 |
2017年 | 489.1 | 313.7 | 424.6 |
2009年の最低額である400万円から、9年間で約425万円ほどまで平均年収は増加しています。
30代の男女別での平均年収の増加具合
30代全体で見てみると、平均年収の増加分は男女ともにほぼ同額の26-27万円となっています。
- 30代男性:△27万円
- 30代女性:△26万円
30代前半の平均年収の変動状況
西暦 | 平均年収[万円] | ||
男性 | 女性 | 合計 | |
2009年 | 427.3 | 290.7 | 377.2 |
2010年 | 431.7 | 299.4 | 384.3 |
2011年 | 433.8 | 296 | 385.1 |
2012年 | 430.9 | 296.9 | 382.2 |
2013年 | 437.6 | 294.3 | 384.2 |
2014年 | 446.2 | 301.1 | 391.8 |
2015年 | 450.7 | 307.0 | 397.4 |
2016年 | 456.7 | 314.7 | 403.4 |
2017年 | 460.9 | 314.8 | 406.9 |
30代前半では、男性の平均給与が著しく上昇しています。女性との上昇額の差は9.5万円となっています。
- 30代前半男性:△33.6万円
- 30代前半女性:△24.1万円
30代後半の平均年収の変動状況
西暦 | 平均年収[万円] | ||
男性 | 女性 | 合計 | |
2009年 | 496.8 | 284.6 | 422.3 |
2010年 | 505.3 | 291.5 | 430.8 |
2011年 | 497.9 | 292 | 425.1 |
2012年 | 498.0 | 292 | 423.7 |
2013年 | 498.9 | 296.6 | 425.0 |
2014年 | 502.1 | 292.5 | 425.1 |
2015年 | 509.5 | 299.2 | 432.3 |
2016年 | 511.7 | 299.9 | 432.8 |
2017年 | 517.3 | 312.5 | 442.2 |
30代後半では女性の平均給与が著しく上昇しており、男性は一服感があり上昇率が低下しています。
- 30代後半男性:△20.5万円
- 30代後半女性:△27.9万円
30代前半と後半の平均年収差は縮小している
また、30代前半と30代後半での平均年収差は以下のようになっており、約10万円ほど差が縮小されています。
- 2009年:45.1万円
- 2017年:35.3万円
以前ほど差がなくなってきており、転職する場合も30代での年齢による影響は若干緩和されているようです。
30代と他の年代との平均年収の違い(H29年版)
ここでは、平成29年の『民間給与実態統計調査』をもとに、19歳以下-69歳までの年齢による平均給与の差を紹介します。
年齢 | 平均年収[万円] | ||
男性 | 女性 | 合計 | |
19歳以下 | 155.3 | 110.6 | 132.3 |
20-24歳 | 278.9 | 243.1 | 262.4 |
25-29歳 | 393 | 317.8 | 361.4 |
30-34歳 | 460.9 | 314.8 | 406.9 |
35-39歳 | 517.3 | 312.5 | 442.2 |
40-44歳 | 569.2 | 308 | 467.7 |
45-49歳 | 629.7 | 309.5 | 496.2 |
50-54歳 | 676.8 | 302 | 518.5 |
55-59歳 | 668.6 | 297.6 | 515.7 |
60-64歳 | 507.9 | 232 | 395.8 |
65-69歳 | 392.6 | 202.5 | 314.4 |
30代後半までは平均給与はコンスタントに上昇!
30代と最も年齢が近い「25-29歳(20代後半):361万円」との差額は以下の通り。
- 30-34歳(30代前半):△46万円
- 35-39歳(30代後半):△81万円
20代での100万円といった爆発的な上昇はありませんが、約40万円づつ増加しています。
30代後半から40代前半の差額は26万円ですので、平均年収の増加率のピークは30代後半までとなっています。
平均年収のピークは50代前半!
最も平均年収が高いのは「50-54歳(50代前半):519万円」となっており、その差額は以下の通り。
- 30-34歳(30代前半):▲112万円
- 35-39歳(30代後半):▲77万円
50代後半から60代後半で、平均年収は一気に120万円ほど減少しています。
生涯年収を考えると、やはり30代まで(遅くとも40代)には転職をして給与額の底上げをしておきたいところです。
事業規模別の30代平均年収
平均年収は従業員が所属する事業規模によっても大きく差が出ます。ここでは、「従業員数」「資本金」別で事業規模による30代の平均年収の差を見ていきます。
【参考】企業規模の定義
企業の規模の定義については『中小企業庁』にて下記のように紹介されています。
業種 | 中小企業者(下記のいずれかを満たす) | 小規模企業者 | |
資本金の額又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 | 常時使用する従業員の数 | |
製造業、建設業、運輸業、その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 | 20人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 | 5人以下 |
今回のデータでは業種別での切り分けが困難でしたので、以下の水準を「大企業」と位置づけるとデータが読みやすいでしょう。
- 資本金1億円以上
- 従業員数1000人以上
2017年の30代全体の平均年収は「424.6万円」ですので、この金額をベースラインとしてデータを確認しましょう。
従業員数別の30代平均年収
従業員数[人] | 平均年収[万円] | |
30-34歳 | 35-39歳 | |
10人未満 | 324.8 | 352.1 |
10人以上 | 364.9 | 416.8 |
30人以上 | 372.9 | 409.5 |
100人以上 | 397.0 | 439.6 |
500人以上 | 428.4 | 472.4 |
1000人以上 | 466.2 | 504.4 |
5000人以上 | 486.6 | 527.5 |
30代前半でも全体の平均年収を超えるのは「事業規模500人以上」の企業からとなります。やはり中企業の比較的規模が大きい企業以上が30代の平均年収を超えてきます。
資本金別の30代平均年収
資本金 | 平均年収[万円] | |
30-34歳 | 35-39歳 | |
個人 | 276 | 278.9 |
2,000万円未満 | 347.9 | 393.4 |
2,000万円以上 | 376.5 | 419.1 |
5,000万円以上 | 388 | 424.2 |
1億円以上 | 423.9 | 464.1 |
10億円以上 | 525.7 | 580.4 |
その他の法人 | 385 | 410.7 |
資本金が1億円以上の企業になると、30代の平均給与を超えてきます。単純に考えると大企業であればほぼ平均年収を超えてくることがわかります。
業種別の30代平均年収
平均年収に最も影響を与えるのは、何と言っても「業種」です。ここでは、業種別の30代の平均年収を紹介します。
業種 | 平均年収[万円] | |
30-34歳 | 35-39歳 | |
建設業 | 453.3 | 473.2 |
製造業 | 453.8 | 500.9 |
卸売業・小売業 | 358.3 | 394.9 |
宿泊業・飲食サービス業 | 282.7 | 313.2 |
金融業、保険業 | 596.2 | 627.3 |
不動産業、物品賃貸業 | 448.5 | 427.2 |
運輸業、郵便業 | 429.6 | 455.4 |
電気・ガス熱供給・水道業 | 633.5 | 734.5 |
情報通信業 | 482.6 | 574.6 |
学術研究、専門技術サービス業、教育・学習支援業 | 448.1 | 502.1 |
医療・福祉 | 362.9 | 387.1 |
複合サービス事業 | 357.7 | 404.6 |
サービス業 | 349.4 | 377 |
農林水産・鉱業 | 331.3 | 361.6 |
平均年収は業種別で大きく変わってきます。前述の事業規模の比較と関わる部分もありますが、30代前半から平均年収が600万円を超えているのは以下の2業界です。
これは、事業形態的に大企業が多いことも理由の一つです。
また、IT化によって業界の成長が著しい「情報通信業界」も30代後半の平均年収が570万円を超えており、3番手となっています。
宿泊・飲食系は30代でも平均年収が300万円付近となっており、業界としては厳しいことが見て取れます。
中途採用実績のある30代平均年収以上の企業情報
『四季報CD2018年夏版』を利用し、2018年前期での中途採用状況のデータをもとに30代平均給与以上の企業数についてまとめました。
データをまとめる際の基準は以下としています。
- 年収を公開している企業
- 中途採用実績が「1人以上」あること
- 平成29年の30代後半男性の平均年収「517万円」をベースとする
- 業種は「大分類」で分類する
業種 | 平均年収以上の企業数 | 中途採用実績数[人] | 最高平均年収[万円] | 最低平均年収[万円] |
水産・農林業 | 5(8社中) | 5-32 | 833 | 363 |
鉱業 | 3(3社中) | 3-7 | 922 | 806 |
建設業 | 131(147社中) | 1-1606 | 1102 | 420 |
製造業 | 899(1103社中) | 1-721 | 1576 | 305 |
電気・ガス業 | 11(11社中) | 1-70 | 942 | 571 |
運輸・情報・通信業 | 222(313社中) | 1-800 | 1461 | 327 |
商業 | 348(444社中) | 1-1200 | 1460 | 309 |
金融・保険業 | 97(110社中) | 1-492 | 1822 | 399 |
不動産業 | 62(79社中) | 1-316 | 1370 | 318 |
サービス業 | 113(233社中) | 1-2850 | 1559 | 253 |
製造業の自動車メーカーやインフラ系大手、金融系の大手など年収非開示の企業が多いことを抜きにしても、四季報に掲載されるような上場企業は基本的に30代後半の平均年収を超える企業が多くなっています。
ただ、飲食なども含むサービス業は約半数の企業が30代後半の年収以下となっており、業界によっては差が顕著となっています。
四季報での従業員平均年齢はおおよそ「30代後半-40代前半」ですので、今回のデータが給与水準として参考になるでしょう。
まとめ:30代の平均年収について
30代の平均年収は、ここ4年ほど増加傾向にあることはわかりました。ただ、業種による平均年収差は大きく、飲食系とインフラ系との差は倍近くとなっています。
また、事業規模における平均年収の比較結果からも、「大企業」の方が「中小企業」などに比べて平均給与が高い傾向にあることがわかります。
30代での転職は、異業種などへの転職も含めて40代よりもハードルは低くなっています。この先30-40年の方向性を決める重要な年齢でもありますので、今一度、自分が仕事において何を優先するかを見直す機会にしてもらえれば幸いです。
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