エニアグラムタイプ6の職場での関わり

エニアグラムは「自己理解」が起点であり、まずは自己を中心とした人との関わりを意識する必要があります。ただ、職場においては自分のエニアグラムタイプと同じ人はもちろん、それ以外のタイプとの関わりもあります。

タイプ6の特徴である「責任感」「忠誠心」「安心」といった特性は、会社組織においても有効に機能します。ただ、一方で「不安」といった恐れも職場において他者に影響を与えることがあります。

ここでは、職場においてタイプ6が上司や部下のそれぞれの立場にある時、他の社員とどのような関係性を築くのかを紹介します。




エニアグラムタイプ6は職場で他者とどう関わるのか?

タイプ6の最大の特徴は、組織において協調性と責任感を持って行動しながらも、常に「不安」に対する恐(おそ)れを持って「安心・安全」を優先したいと考えていることです。

ここでは、タイプ6が他のエニアグラムタイプに対してどのような関わり方を行い、どういったトラブルになりやすいかを説明します。

タイプ1とは責任感の質の違いに苦しむ

タイプ6とタイプ1は、組織において、義務感と責任感を持って真面目に業務に取り掛かるという点では類似しています。ただ、タイプ1は完全主義の特徴が出てくるため、自分の考えが中心となっていき、否定的な言動を取ることがあります。

タイプ1の上司とタイプ6の部下

一般職のタイプ6がタイプ1の上司に接する場合は、「上司の理想に応えきれていないのではないか?」という不安を感じることが多くなるでしょう。上司の要求レベルには限界がないとさえ感じてしまうかもしれません。

そのため、自分の仕事に対して不安な気持ちを抱いて自己否定が強まる結果、上司との接触を避けるようになる恐れがあります。

タイプ6の上司とタイプ1の部下

タイプ6の上司がタイプ1の部下を持った時、最初は要求に対して高いレベルの仕事を従順にこなしてくれます。ただ、タイプ6の上司の指示に対して、不満や「もっとこうすべき」といった部下の主張をぶつけられる状況も考えられます。

部下が行ってくれた仕事に対して「十分に要望を満たしており、これ以上は必要ない。」ということを伝えましょう。部下にとっての理想よりも、その仕事が会社にとって十分なレベルかどうか? を理解させる必要があります。




タイプ2の献身さに甘えたくなる

タイプ6とタイプ2は、どちらも組織において協調性があり、職場の仲間をフォローするという能力に長けています。

タイプ6の上司とタイプ2の部下

タイプ6の上司がタイプ2の部下を持ったとき、タイプ2の友好的な姿勢と献身的な態度は、上司にとって頼りやすい存在に映るでしょう。安心を覚えて、つい仕事を頼む機会が多くなるかもしれません。

しかし、それによって互いに依存的な関係を生みかねないことを把握しておきましょう。気づけばタイプ2の部下にコントロールされているような感覚を抱く可能性があります。

タイプ2の上司とタイプ6の部下

タイプ2の上司の元で働くタイプ6は、上司の丁寧なフォローと、時に仕事を手助けしてくれる関わり方に安心感を感じるでしょう。ただ、それによって自身の成長が妨げられている可能性に気づいたとき、急に不安と疑念を抱きます。

タイプ2の上司の元での労働は居心地が良いかもしれません。ただ、上司が変わってしまった時、あなたに何が残るのか? を日ごろから意識しておく必要があります。




タイプ3とは評価の方向性が違う

タイプ3とタイプ6の職場における大きな違いは評価の考え方です。タイプ6が「組織」を重視した行動を取るのに対し、タイプ3が「個人(本人)」の評価を重視した行動を取るということです。

タイプ6の上司とタイプ3の部下

タイプ6の上司がタイプ3の部下と仕事をするとき、タイプ3の働きぶりを頼もしく感じるでしょう。タイプ3は自らの評価のためにも、積極的にハードワークをこなします。仕事できる系の部下として、レベルの高い要求に対しても必ず結果を出す行動や提案をします。それに対して、賞賛や評価を具体的に示す必要があることを忘れないようにしましょう。

タイプ3の上司とタイプ6の部下

タイプ6がタイプ3の部下として働くとき、従順で責任感の強いタイプ6は、タイプ3のコマとして利用される可能性もあります。タイプ6が組織のために献身的に働いても、その実績や評価がタイプ3の指導力の高さと思われてしまう可能性があるのです。

そのため、自分の社内での評価が満足いくものでないと疑念を抱くこともあります。疑念はタイプ6にとって外に向けた攻撃の原因にもなります。重要な報告は他の上位管理者も交えるなど、自己防衛も意識しましょう。




タイプ4の独創性に不安を感じることがある

タイプ6とタイプ4は、ときに無意識の勘で行動をすることがある、という点で共通するところがあります。ただ、両者の大きな違いは内向性と外向性です。

タイプ4の上司とタイプ6の部下

タイプ4の上司の下で働く場合、タイプ6はタイプ4の独創的で抽象的な表現に度々悩まされる事になるでしょう。指示が明確でないと、タイプ6は不安を覚えてしまいます。現実的なゴールや具体性について質問することを意識しましょう。

タイプ6の上司とタイプ4の部下

タイプ6の上司がタイプ4の部下を持つ時は、業界や業種によってはその独創性をうまく活用できないかもしれません。タイプ4の考えや行動に違和感を感じることもあるでしょうが、攻撃性を高めやすいタイプ6は個人の特性を否定しがちです。

指導の際には、人格否定となるような言動には注意しましょう。タイプ4は繊細でキズつきやすい一面があります。内向的な性格であることに注意を払い、行動の改善点を示しましょう。




タイプ5の理論思考は助けになることも多い

タイプ6とタイプ5は、同じヘッドセンターでウイングの関係にあります。そのため、双方はお互いのことを理解しあえる関係にあり、通常・健全レベルであれば良好な関係を築けるでしょう。

タイプ6の上司とタイプ5の部下

タイプ5の上司の部下として働くタイプ6は、理論的な説明をしてくれる上司に心地よさを覚えるかもしれません。タイプ6は常に不安という感情を抱きますが、上司が理論的にゴールまでの道を示してくれる事に頼もしさを感じます。

しかし、組織としての目標達成に対してタイプ5が独自の思考に偏った指示をしてくると、組織との距離感を感じて一気に不安な気持ちが湧くこともあります。

タイプ5の上司とタイプ6の部下

タイプ6がタイプ5の部下と接する時、頭脳センターでありながらも感情的な攻撃をしがちなタイプ6の指導が、理論的に考えるタイプ5には伝わらない可能性があります。

タイプ6はタイプ5の気持ちを分かってあげることができます。タイプ5の部下には理論だった説明を心がけ、「理由」と「結果」を伝えることを意識しましょう。感情をぶつけることはNGです。




タイプ6同士はお互いを理解しあえる

タイプ6同士は、当然ですがお互いのことを理解しあうことができます。健全さがどのレベルにあるかも肌感覚で理解できます。

上司であれば、部下の協調性や忠誠心といったものを感じ取ることができます。業務において、部下がなぜ不安に思っているかなどは、注意深く観察すれば理解することができます。

部下であれば、上司の思考が今「不安」になっているのかどうかを理解できます。そのため、報告の場面でも上司が普段気にするポイントを押さえた説明ができるでしょう。

ただ、一緒にうんうん悩んでしまって結論が出ないようなこともあります。組織としてのゴールをしっかりと意識することを忘れないようにしましょう。

最も注意すべきは感情のぶつけ合い

また、上司も部下も、不安や疑念が増大するにしたがって感情的な攻撃を行うことがあります。そうなると関係の修復が難しいのもタイプ6同士の関係の特徴です。

双方の臨界点はお互いに理解できるはずです。関係が悪化する前に、譲歩することも心がけましょう。




タイプ7の楽観的姿勢が受け入れらなくなることもある

タイプ6とタイプ7はヘッドセンターでウイングの関係にあります。ただ、根本的な思考性が異なっており、タイプ7は「楽観的」でタイプ6は「悲観的」な考えを秘めているという特徴があります。

タイプ7の上司とタイプ6の部下

タイプ7の上司を持つタイプ6は、タイプ7の上司の楽観的な姿勢に対して、時に拒絶にも近い感情を持つことがあります。「何とかなるさ」という何気ない発言に、不安や疑念を抱いて心が離れてしまうことがあります。

タイプ6の上司とタイプ7の部下

タイプ7の部下の場合は、前向きな行動で成果を上げてくれる事に頼もしさを感じるでしょう。ただ、タイプ7のステップの軽さに、タイプ6は突然不安感を覚えることもあります。一見順調そうな仕事であっても、タイプ7は途中で興味と熱意を失うことがあります。継続的なフォローを行って、ゴールまで導く粘り強い関わりがタイプ6の上司には求められます。




タイプ8とは立場逆転現象を生むこともある

タイプ8のリーダー的な気質とタイプ6の忠誠的な態度は、組織においてもうまくいくことは多いでしょう。ただ、これは上司と部下の立場によって大きく変わります。

タイプ8の上司とタイプ6の部下

タイプ8の上司の元で働くタイプ6は、タイプ8の強烈な推進力に頼もしさを感じ、「このチームに属しておけば大丈夫」という安心感を得ることができます。タイプ8の上司は自分の部下を守る傾向にあり、タイプ6も守られる事によって積極的に行動することができます。

タイプ6の上司とタイプ8の部下

逆に、タイプ8の部下を持つタイプ6は、不安を覚えることが多いかもしれません。タイプ8は他者からコントロールされることを嫌います。そのため、タイプ6の上司が不安を覚えていようが本能のままに行動を進めていきます。そのため、部下でありながら立場が逆転したような状況になることもあるのです。




タイプ9とは良好な関係を築ける

タイプ6とタイプ9は、お互いに誤認してしまうことがあるほど組織において似たような行動をします。そのため、仕事上でも良きパートナーとして関わることができます。

タイプ9の上司とタイプ6の部下

タイプ9の上司を持つタイプ6の部下は、楽観的でありながらサポートも行ってくれる上司に信頼感を覚えるでしょう。タイプ9の上司は、タイプ6の「不安」を空気感でも読み取れます。そのため、相談しやすい上司として、公私両面での悩みを打ち明けることができます。

タイプ6の上司とタイプ9の部下

タイプ9の部下を持った場合は、逆らうことがほとんどないタイプ9に対して、仕事を任せやすいと感じることが多いでしょう。タイプ9は自分の意見を主張しすぎることなく、タイプ6の上司の指示と自分の意思をうまくマッチングさせようとしてくれるのです。

ただ、タイプ6はどちらかというと感情的な行動を起こす頻度がタイプ9よりも多くなります。タイプ9の上司や部下は、知らないうちに大きなストレスを抱えています。そうなると、急にタイプ9が感情を爆発させることもあるので注意が必要です。




まとめ:タイプ6の職場での関わり

エニアグラムタイプ6の人が、職場において他者とどのような関わりをするか説明してきましたがいかがだったでしょうか?

タイプ6は日本人に多いタイプとも言われており、組織の目標をしっかりと理解した上で、つなぎ役としても重要な役割を果たします。

ただ、エニアグラムタイプ6は「不安」を抱えやすいという特徴があります。不安の蓄積による感情的な行動が、組織において時に大きな問題となることもあります。

「不安」を覚えることは悪いことではありません。信頼感を大事にするタイプ6にとっては当然のことと理解して、時にはチャレンジすることも忘れないようにしましょう。

本記事の参考書籍

・自分の「性格説明書」9つのタイプ:安村明史 著
・9タイプ・コーチング:安村明史 著
・THE ENNEAGRAM INSTITUTE:海外サイト