30代で転職や再就職、もしくは初めての就職を考えて仕事を探してるのに見つからない。人に相談しても「仕事を選びすぎだよ」とか「売り手だからいくらでもあるよ」と言われてはいないでしょうか?
30代で仕事が見つからない原因は人によって違います。人に「選びすぎ」と言われても、あなたの価値観ではそういうことではないでしょう。
ここでは、30代で仕事が見つからない状態で悩んでいる人が、その原因をはっきりさせて、仕事を見つけ出すための方法を紹介します。
30代で仕事が見つからない原因は何か?
30代で仕事が見つからない状態になっている原因は、「高望みをしている」とか「自分の経歴が悪い」といったことではありません。もっと根本的なところに原因があります。
ここでは、仕事を見つけきれない二つの原因について説明します。
- 自分が仕事に求める価値感が明確になっていない
- 自分の希望を満たす仕事が何かを知らない
【1】自分が仕事に求めることがわからない
仕事に求めることがわからないと、どんなに多くの仕事を検索したり求人票を見たとしても、「何か違う」という気持ちが湧いてしまいます。
そしてまた新たな仕事を探すために、求人検索を繰り返すことになるのです。ただ、求人情報を眺めているだけでは、希望の仕事は見つけようもありません。
いきなり仕事を検索する前に、自分が好きなことや得意なこと、嫌なことや苦手なことなどを過去の経験から掘り起こしてみましょう。
- 人と接して提案するのが好き
- データを細かくまとめるのが好き
- 黙々と同じことを繰り返すのが得意
実際はこれほど単純ではありませんが、例えば以下のようにエピソードを絡めるとイメージがつかみやすくなります。
- 高校時代に弁論大会のスピーチで褒められて、人前で話すことが好きになった
- 子供の頃に読んだ○という本の主人公の言葉が好きで自分のポリシーになった
- 小学校の頃の先生の教え方が上手くて格好良かったから人に教えるのが好きになった
まずは、自己理解が重要なのです。
こういった経験の掘り起こしによって、今の自分につながる価値観が見えてくるようになります。価値観がそのまますべて反映される仕事があるとは限りませんが、仕事探しの軸が見えてきます。
自己理解に便利な「ライフラインチャート」
自分の今までの経験を振り返る時に便利なツールが「ライフラインチャート」です。
時系列に沿って、「出来事」「成功・失敗経験」「影響を受けた対象」などを記載し、その時の自身の満足度をラインチャートで記載します。
- 満足度が高かったのは何故なのか?
- 逆に満足度が低かったのは何故なのか?
- 満足度に大きな変化があるポイントは何があったのか?
- 自分が何故その経験をシートに書いたのか?
こういったことを深掘りして、これまでの自分の行動の関連性を探すことで、自己理解を深めるきっかけを作ることができます。
【強みを分析する】グッドポイント診断の利用
リクナビNEXTの無料サービスで、自分の強みを分析できる診断ツールがあります。時間は20-30分ほど掛かりますが、自分の強みが「見える化」できるので自己分析にも役立ちます。
類似した分析に「ストレングス・ファインダー」があります。こちらは、自分の自我・気質などの理解に役立ちますが、テストを受けるには関連書籍の購入(2,000円とちょっとお高め!)が必要です。
職業への興味度・適性の検査ツールの活用
仕事を探すことに悩んでいる人は、あなたの仕事に対する興味度を検査するテスト利用も検討しましょう。ここでは、職業の興味度・適性検査ツールの一部を紹介します。
VPI職業興味度検査
選択式の問題に回答することで、どういった仕事に興味があるかを測定する検査です。6つの職業興味尺度と5つの傾向尺度から、興味度の高い職業を抽出します。
キャリア・インサイト
コンピューターを用いながら、職業選択に役立つ適性評価や、適性に近い職業リストを知ることができます。また、試験結果の中で興味のある仕事の検索も可能です。
こういった検査はハローワークで無料で受けられるものもあり、これら以外のテストもあります。最寄りのハローワークの総合案内所で、「職業興味や適性を検査したい」と相談してみましょう。
【2】自分の要望を満たす仕事を知らない
人によっては、いろいろな性格分析や自分の経験から、自分が仕事に求めることをおぼろげながらも分かっている人もいるでしょう。
しかし、そもそも仕事についての知識がないと、自分が望む仕事を見つけることはできません。キャリア研究の権威「ホランド博士」によると仕事は6つのジャンルに分類されます。
- 現実的(Realistic):【例】建設業や整備士など
- 研究的(Investigative):【例】研究者や学者など
- 芸術的(Artistic):【例】デザイナーや作家など
- 社会的(Social):【例】教育機関や医療系など
- 企業的(Enterprising):【例】営業やジャーナリストなど
- 慣習的(Conventional):【例】管理や経理事務など
自分が仕事に対して求める「興味」と、実際に持っている「スキル」がどれに該当し「どういった仕事があるのか?」を知らないと、関連性のない仕事を探し続けることになりかねません。
職業の理解を深める「職業理解ツール」
前述の「職業興味度検査」や「適性検査」で抽出されたいくつかの職業についても、公的機関が発行している「職業理解ツール」で確認することができます。
【無料】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
厚生労働省が運営している、各職業毎の職務内容や求人状況、就労に必要なスキルなどがまとめられたWebサイト。調べたい職業名を入力して検索することで、詳細を見ることができます。
【無料】厚生労働省編職業分類
職業指導や職業相談などの「職業紹介業務」で、共通して使用されているベーシックな職業紹介冊子です。
【無料】ハローワーク「職業分類・職業解説に関するご案内」
前述の『厚生労働省編職業分類』はPDFですが、こちらはHP上で職業を選択することができます。約400種の仕事について仕事の内容や労働条件などが記載されています。
【有料】職業レファレンスブック
労働政策研究・研修機構(通称JIL)が、主要1,000職業について、それぞれ約400字程度で職種の内容を紹介した本です。約1,500円ほどで購入可能です。最寄りの図書館でも確認してみましょう。
これらの「職業理解ツール」は、職業理解の補助として利用しましょう。個人的には、「日本版O-NET」が最もよくまとまっていますので、優先的に確認することをお勧めします。
30代で仕事が見つからないことをコンサルタントに相談する
30代で仕事が見つからないと悩んでいる人は、自分一人で悩んでいたり、身内や親しい人にしか相談できていない状態ではないでしょうか?
仕事に関してどれだけ悩んでいても、自分が優先したいことや強み・弱みといったことが理解できないと、満足のいく仕事探しはできません。また、仕事のことを理解していないと見つけようがないのです。
一人で悩まずにキャリアコンサルタントにカウンセリングの相談しましょう。
キャリアコンサルタントは仕事斡旋業ではない!
「キャリアカウンセリング」となると身構えてしまう人もいるでしょうが、キャリアコンサルタントは「仕事の斡旋」が主たる業務ではありません。キャリアの悩みを解決することが仕事です。
「仕事がない」と悩んでいても、その悩みの本質は別にある場合があります。そういった、キャリア形成に関わる問題の発見と、解決の支援をするのがキャリアコンサルタントの仕事です。
現在では、以下のような方法でキャリアカウンセリングを受けることができます。
ハローワークでの無料相談
ハローワークでは、無料でキャリアコンサルタント有資格者のカウンセリングを受けることができます。キャリア相談はもちろん、自分の棚卸しにも役立つ「ジョブ・カード」の作成支援も受けられます。
キャリアコンサルタント有資格者組織
キャリアコンサルタントは2016年から国家資格となっており、資格を取得するためにはキャリアや心理学を学び、カウンセリング技術の習得が必須です。この国家資格を有する人たちが、「キャリアコンサルタント」と名乗ってカウンセリングを行うことができます。
求職者はキャリアコンサルタント協会組織や、個人カウンセラーへの相談が可能です。初回無料で2度目のカウンセリングが有料というケースが多く、基本的にカウンセリングは一回では終わりません。
ハローワークでは何度も同じ人にカウンセリングを受けることが難しく、民間のキャリアコンサルタントを利用する人もいます。
転職エージェントの利用
転職エージェントでは、利用登録後に面談を行います。この際に、求職者の要望を汲み取って仕事の斡旋を行います。
転職エージェントすべてがキャリアコンサルタントの資格を有しているわけではないので、カウンセリングよりも「仕事を見つける」支援に特化しがち
です。
カウンセリングができる担当者もいますので、具体的な仕事探しを優先したいなら転職エージェントの利用がおすすめです。
30代で仕事を探すときは複数の媒体を利用する
ここでは、30代で仕事が見つからない場合に、仕事を見つけるために利用すべき情報源を紹介します。
30代での転職・再就職ならば「転職エージェント」の利用をまず検討
わたし自身が転職時に転職エージェントを活用したこともあり、当サイトでは転職エージェントの利用をおすすめしています。
担当の転職エージェントと面談をしたり転職活動をしながら実際に求人を受けていると、しだいに転職の方向性が見えてくるようになります。転職エージェントと定期的に方法性をすり合わせながら自分の理想に近い転職を探ることができます。
転職エージェントは求人選定以外にも以下のような転職活動に関わる重要な項目をフォローしてくれます。
- 応募書類添削
- 応募書類の提出と推薦
- 面接対策
- 採用試験日程調整
- 内定後フォロー
カウンセリング以外にもこれだけの転職活動支援を受けられるので、利用を推奨しています。自分に合わなかったり、転職をやめる場合はサービスの中断も可能です。
転職サイトで可能性を探る
転職エージェントはあなたの希望に近い求人を紹介してくれますが、そのことにプレッシャーを感じる人もいるでしょう。そういった場合は、転職サイトの利用を検討しましょう。
転職サイトは自ら仕事検索ができるのはもちろん、「スカウトサービス」を利用することで、あなたの経歴・スキルや興味関心にマッチしそうな求人情報を受け取ることもできます。
職歴がなければ「就職エージェント」の利用を検討する
30代で初めての就職を考えている場合は、仕事に対する知識も本やネット情報がほとんどです。そのため、仕事の実態がわからずに、仕事を見つけ出すことに苦労します。
30代ならば「JAIC」といった、民間の就職エージェントの支援を受けることができます。就職エージェントは第二新卒などの20代のサポートがメインですが、「JAIC」は30代もフォローしてくれます。仕事の理解や可能性の探求に利用してみましょう。
地域採用優先ならばハローワークを利用する
転職や就職に限らず、自分が現在居住している地域やUターンで地元に帰りたいなど、特定の地域での就労を希望するならば、ハローワークが最も仕事検索に適しています。
ハローワークは中小企業の求人募集が多いですが、地域限定の求人を多く有しています。転職エージェントや転職サイトの場合は、地域限定求人の数がかなり限られます。それは、求人元企業側が、求人登録費用や成功報酬をサービスに支払う必要があるため、そこまでの費用を企業が掛けられるわけではないからです。
あなたが優先する項目に「近隣地域」があるならば、まずはハローワークで求人を探すことをおすすめします。
就職や転職にはタイミングも重要
30代に限らず、仕事に出会うにはタイミングも重要です。
- たまたま気になっていた企業が求人を出した
- 久しぶりにあった友人から会社の立ち上げメンバーを探していると言われた
「運」にも近い要素ですが、見つからないと悩み続けている中で、「ポンっ」と求人が舞い込むことがあります。ただ、こういったタイミングと出会うには行動をし続ける必要があります。
- 定期的に転職サイトで求人を探す
- 転職エージェントに求人情報の提供依頼をしておく
- ハローワークの求人を毎月確認する
など、情報を受け取れるような環境の構築を意識しましょう。
まとめ:30代で仕事が見つからない場合の対処法
30代で仕事が見つからないと悩んでいる人向けに、キャリアコンサルタントとしてさまざまなアプローチを紹介しました。
30代で仕事が見つからないと悩んでいる人は、まずはその原因を探ることが重要です。仕事が見つからない原因を考える時は、「理想が高すぎる」「満足いく給料の求人がないから」といったことではなく、自分の価値観を掘り起こすことを優先しましょう。
欲しいのは「高い給料」ではなく、「自分の仕事を褒めてくれる職場環境」かもしれません。具体的な求人を探す前に、抽象的な自分の価値観を少しでも明確にしてみましょう。
自分だけでは仕事を探しきれない場合は、ハローワークなどの公的機関はもちろん、就職支援サービスが充実している就職エージェントも活用も有効です。