ガントチャートを上手く機能させるための7つのルール

ガントチャート作成の際に必ずやるべきルールまとめ

ガントチャートは作るだけなら誰でもできるわけですが、重要なのは「使い方」と「絶対に抜かしてはいけないポイントを守る」ことです。

ルールについて認識せずに漠然とツールを使ってしまっている人が多く、結果的に、せっかくの有用なツールも使えないお飾りなモノに変わってしまうのです。

今回はプロジェクト管理に有効な「ガントチャート」を使う上で、必ず守るべき7つのルールを紹介します。





【1】時間軸は適正な期間を設定する

ガントチャート作成時に重要な時間軸。以下のような目安で設定した方がいいことはお伝えしました。

ただし、あまり細かい時間軸でガントチャートを作成するのはやめましょう。各プロジェクトには適正な時間軸がありますが、1分単位で作業を行うようなものはそもそもガントチャートで管理できるようなレベルではありません。

作業自体が単純で、決まった行動をするようなタスクは短い時間での設定も可能ですが、タスクの数や関わる人数など、そのプロジェクトの規模感にあった時間軸設定を心がけましょう。




【2】タスクは「漏れなく」「順序よく」並べる

「WBS(ワークブレイクダウンストラクチャー」の項目でも説明していますが、タスクは「漏れなく」「順序だって」並べる必要があります。

プロジェクトを開始した時に、抜けが見つかってしまうと計画の変更が必要になったり、リソース(人やお金などの資源)を新たに割かなければいけなくなる可能性もあります。

また順序だって並べることによって、ガントチャートを一目見ただけで誰もが作業の流れを把握することができるようになります。

【3】実現可能なスケジューリングを行う

言葉で書くと非常に単純なルールですが、実行する前から不可能だと感じるようなスケジュールは確実に失敗します。

「CPM(クリティカルパスメソッド)」の項目でも説明したように、特に重要なのがクリティカルパスに該当するタスクの期間設定です。

スケジューリングの段階である程度の余裕を見積もりながら作成し、進捗管理を行う際には作業期間の調整が行えるようにしておきましょう。

一度経験したことがあるプロジェクトに関しては、時間の調整が必要なタスクもあらかじめ把握できていますので、スケジューリングの段階で再考することを忘れないようにしましょう。

【4】依存関係のラインを結び「相関関係」を明確にする

実際にガントチャートを作成してみると分かりますが、タスクの流れを示すネットワーク図がなくてもガントチャートはある程度作成できます。

しかし、プロジェクトの実行フェーズでは、タスク同士の相関関係がわかるようにしておかないと、ある作業の遅れが他の作業の進捗にどのような影響を与えるかが見えてきません。

また、タスクによっては他の作業の進捗に影響しないものもあり、そのようなタスクに注力し過ぎないことも重要です。

エクセルで作成したガントチャート上で依存関係の線を結ぶのは面倒くさいかもしれませんが、後々のことを考えると少し手間がかかっても相関関係は明確にさせましょう。




【5】マイルストーンを必ず設置する

マイルストーンは、「必ず終わらせなければいけないタスク」に対して設置してください。タイムバーだけのガントチャートでは、どのポイントがそのプロジェクトの中で重要なものか判断がつきにくくなります。

実際に作業を行うタスク以外にも、スケジュールの各節目に「チェック・見直し」を目的としたマイルストーンを設置しましょう。「チェック・見直し」に該当するものはさまざまですが、製造業では「定例会、中間報告会、完了報告会」といった“報告会”を設置します。

このような「スケジュールのチェック」を随時行わないと、プロジェクト自体を漠然と捉えてしまって思わぬ作業遅延を発生させる事になってしまいます。

【6】タスクの進捗実績がわかるようにする

実績が必ず把握できるように、実績を記入できるスペースを確保したりタイムバーの色を変えられるようにしてください。

あなたの目的は「スケジュールを作成する」ことではなく、「プロジェクト(時間)を管理する」ことです。計画したプロジェクトスケジュールの進捗をフォローし、見直す必要があることを忘れないでください。

この部分は「進捗管理編」で、イナヅマ線二重線法といった具体的な管理方法を説明しています。

【例1】予定と進捗を併記する場合

【例2】進捗部分を塗りつぶす場合




【7】ガントチャートで最も大事なのは「スタート」を決めること

ガントチャートの作成時に非常に重要なポイントは、プロジェクトの”スタート”を決めることです。ゴール(納期)に関してはほとんど全ての人が意識しているのですが、「いつから始めるか?」といった”スタート”に関しては注意を向ける人は少ないのが実情です。

スタートが曖昧なままだと、開始のタイミングが遅れるために後半のタスクのスケジュール調整を頻繁に行ってしまうという事態に陥りやすくなります。

スタートは、スケジュールを完結させる上でも重要なポイントなのです。よく言う「先延ばし」というものは、このスタート地点が曖昧なために起こりやすくなってしまいます。

「思い立ったらすぐやる!」といったような精神論的な考えはプロジェクトの実行においては何の意味も成しません。「○日に△を終わらせなければいけないので、×日からはじめる」といったような、”明確”なスタートラインを設定するようにしてください。

とくに複数のメンバーでプロジェクトを行う場合に有効なのが「キックオフmtg」の開催です。ここで、プロジェクトリーダーがプロジェクトに関わる人を集めて計画を共有することによって、意識を統一させる必要があるのです。

まとめ:ガントチャートを機能させるには?

ガントチャートは作ることだけに夢中になってしまい、いざプロジェクトを実行し始めると、スケジュールの破綻がよく起こります。

せっかく作成したガントチャートも、プロジェクトの終結まで利用できなければ意味がありません。以下のチェックポイントを、ガントチャート作成時に目のつくところに置いておきましょう!

ガントチャート【7つのチェック項目】
⬜︎ 【1】時間軸は適正な期間で設定したか?
⬜︎ 【2】タスクは「漏れなく」「順序よく」なっているか?
⬜︎ 【3】そのスケジュールは実現可能か?
⬜︎ 【4】タスクの依存関係は明確か?
⬜︎ 【5】マイルストーンは置いたか?
⬜︎ 【6】タスクの進捗実績を記載したか?
⬜︎ 【7】プロジェクトの「スタート」は明確か?