転職に有利な資格|業種別おすすめ5選【総務、金融、不動産、経理編】

あなたはこれまでに資格をどれくらい取得しましたか?
その資格はご自分のキャリアとの一貫性がありますか?

転職活動時のキャリアを見直すとき、必ずと掘り下げる必要があるのが保有している資格です。

「資格」は、あなたの経験を相手に伝える際に役立つツールのひとつです。ここでは、転職の際に利用できる資格情報についてお伝えします。

注意本ページでは、各種資格試験の詳細情報については試験運営の「公式ぺージ」を紹介しております。資格学校などへのリンクではありませんが、リンク先ページ内で養成講座などの紹介がある場合もあります。あらかじめご了承ください。




転職活動時に資格は有利に働くのか?

転職を考えている人にとっての悩みの一つが資格の有効性です。

  • 自分の持っている資格は役に立つのか?
  • そもそもどういった資格がいいのか?
  • 「資格なんて役に立たない」って言われたけど(泣)

など、資格に対しては、さまざまなことを考えてしまうでしょう。

資格は求職者と採用企業とのマッチングを測る材料になる

結論から言うと、資格を持っていると転職時の自己アピールに使える材料が増えます。

中途採用試験では「具体的にどのような活動をしているか?」「活動に一貫性があるのか?」など、マッチングに関する情報が採用側に正確に伝わる必要があります。

転職希望先企業に自分の有用性を伝える簡単な方法の一つが、業態に関連した資格を取得することなのです。

業界・業種が同じならば、在職中にステップアップも含めた資格取得はしやすいでしょう。また、未経験の職種への挑戦を考えている場合は、資格を取得することが「その業界を勉強している」意思表示にもなり、資格によっては次の企業での業務に直接活かすこともできます。




業態・業界別の転職に有利な資格ランキング

ここでは、転職を行う際に有利であると評価される資格を紹介します。難易度の高い国家資格はもちろん、民間の資格にも転職に有利なものはあります。

今回は以下の4つの業種・業界に関する資格を紹介します。

  • 総務
  • 建設・不動産
  • 金融
  • 経理

自分が目指す転職先に近い種類の資格に注目してみましょう。




「総務職」の転職に有利な資格

総務職の仕事は幅がひろく、法務や労務はもちろん人事や経理まで行うこともあります。転職を目指す会社での総務の役割によりますが、幅広い知識を得られて確実に求められる専門的な資格を取得することが、総務系への転職に際して有利になる条件です。

【1】メンタルヘルス・マネジメント検定

多くの会社が抱える問題に「過重労働、人間関係による”うつ”」があげられます。そんな中、求められる知識として「メンタルヘルス」があります。企業によっては、専門医や契約医師などを通してケアを行いますが、臨機応変さが失われるため、総務部の中に有資格者がいることはかなりのメリットです。

この資格を取得することによって「うつ予備軍」となる人たちを察知し、自己管理方法についてアドバイスができます。”うつ病”はいかに早く発見し、適切な対応を取るかが重要です。貴重な人材を失うことがないように、総務がこの資格を有することは、非常に重要なことなのです。

メンタルヘルス・マネジメント検定:試験詳細ページ

【2】衛生管理者

50人以上の社員を有する会社では、労働者数に応じて一定人数の衛生管理者の在職義務が生じます。つまり「衛生管理者」はそういった規模の企業において必須の資格なのです。

具体的には、社員の健康障害を防止するための職務を行うための資格であり、「衛生管理者」がいない場合でも、代理として有資格者を据える必要があるため確実に重宝される資格なのです。

衛生管理者:試験詳細ページ

【3】社会保険労務士

社会保険労務士は、総務に限らずかなり有効な資格の一つ。「労働法」はもちろん、「年金法」や「労災法」まで、総務が行う労務管理において必須の法律に関する知識をもっている証明となります。近年の「社会保険関係法令」の改訂にともなって、保険に関する詳しい知識を持ったエキスパートを企業も望んでいるのです。

社内的なことだけでなく対外的な企業とのやりとりでも、社会保険労務士の資格があれば、法律に関して丸腰で臨むことはなくなります。また、就業規則に関しても社員の待遇や労働時間に関する見直しを図ることができ、社員とのトラブルを未然に防ぐことにも役立ちます。

社会保険労務士:試験詳細ページ
独立を狙うなら単体取得は厳しい

この資格も独立に際して役立つ資格の一つですが、単体での独立開業は困難ですので「ファイナンシャルプランナー」のような金融に関する資格も一緒に取得していくと便利です。

合格率が著しく低い資格ですが、類似の資格として「年金アドバイザー」や「ビジネス実務法務」などもあり、これら一段下の資格を先に取得することで「社会保険労務士」の合格率を上げることが可能です。




【4】産業カウンセラー

「メンタルヘルス・マネジメント検定」とあわせて持っておきたい資格が「産業カウンセラー」です。「産業カウンセラー」の有資格者は、会社内の組織全体の精神的ケアの取り組みができ、カウンセリングはもちろん研修や対応策の提示といった一段上のレベルのヘルスケアを行うことができます。

専門職が強い資格であるため、「心理学科の卒業」や「技能講座の修了」など、受験資格が若干厳しく設定されていますので、受験の前の確認が必須です。

産業カウンセラー:試験詳細ページ

【5】給与計算実務能力検定

会社内でのトラブルには給与に関わるものがあります。この資格は「給与の計算に関しての知識」を得られる検定です。

総務課は、労働組合との折衝も仕事の一つですが、労働組合からの意見の中でも給与に関する問い合わせや改善要望は数多くあがってきます。こういった際に、給与計算などの実務能力を兼ね備えた人材がいると、初動の段階で納得のいく対応を行うこともできます。

社会保険料や所得税といった、給与に関わる国への支払い金額の算出など、絶対に間違うことが許されない業務が可能です。この資格には二級と一級がありますが、一級を取得することで「労働法令」に加えて「税務に関する知識」も得られるため、会社によって違いがある給与体系に関しても臨機応変に対応できるようになります。

給与計算実務能力検定:試験詳細ページ




金融系業務の資格

金融業界では、資格を有していないと取り扱うことができない金融商品も数多くあります。金銭に関わる業務がメインとなる金融業は、入社後も様々な資格を取得することになります。

金融業界とはいっても様々な業種があります。

  • 不動産関係の金融
  • 有価証券を扱う証券会社
  • 保険を扱う企業

自分が所属している、もしくは目指している金融業界が明確な場合はその業種に直結するものから取得していきましょう。

【1】外務員

金融系の中でも、「証券会社」や「銀行の有価証券取り扱い業務」に従事するために必要な資格があります。それが「外務員資格」です。

外務員には大きく二つの資格があります。1つは「株式,公社債,国際投資信託」などを取り扱うことができる「二種外務員資格」。こちらは証券会社に勤めていなくても取得できる資格なので、証券会社などの金融企業を受ける前には取得しておきましょう。

さらに、金融機関に勤めた後で「オプション」や「デリバティブ先物」など有価証券に関わる商品を扱うことができる資格が「一級外務員資格」です。外務員は必須の資格ですので、金融商品を取り扱う会社に勤める場合には、早めに取得をするようにしましょう。

外務員:試験詳細ページ




【2】銀行業務検定

「銀行業務検定」は、金融機関での昇進において必須となる検定の一つです。合計43もの検定があり、「金融経済」や「窓口セールス」,「年金アドバイザー」,「信託実務」「金融リスクマネジメント」など、様々な検定があります。

金融機関に所属する場合は必須となる資格ですので、就職・転職時は活動中に余裕と上昇志向がある人は資格を取得しましょう。取得できなかったとしても、ここで勉強したことは就職後に約立ちます。

銀行業務検定:試験詳細ページ

【3】賃金業務取扱主任者

国家資格に移行しながらもかなり人材不足なのが「賃金業務取扱主任者」です。2010年の賃金業法の改定に伴い賃金業者では有資格者が必ず必要となりました。

この資格は、企業のコンプライアンスに関する役割を強く求められる内容となっており、「法令遵守や顧客情報管理」、「疑わしい取引に関する届け出」や「苦情対応」に特化した資格です。試験範囲も広く、「法律」はもちろん「財務会計」や「貸し付け」等の知識も必要です。

適用される業種が多く、消費者金融以外にも質屋やクレジットカード会社、信販会社でも必要となってくる資格です。この資格を取得する事で会社での評価が上がる事はもちろん、金融系の幅広い転職が可能になるので是非押さえておきましょう。

賃金業務取扱主任者:試験詳細ページ



【4】証券アナリスト

「証券アナリスト」は、外務員資格よりもさらに詳細な金融商品に関する知識を得るための資格です。

株式市場はもちろん、商品市場や経済に関するあらゆる知識を収集しながら、分析結果をもとに顧客に対して有効な投資情報を提供するという金融商品アドバイスの専門家を育てるための資格です。

1次試験では「経済財務分析」「ポートフォリオマネジメント」といった科目を受け、合格した後に2次試験の「論述タイプの試験」を受けることができます。1次試験の合格率は50%程度と高くもなく低くもない水準です。ただ、2次の「論述試験」では一気に合格率が落ちるのでしっかりと準備をしましょう。

証券アナリスト:試験詳細ページ

【5】DCプランナー

最近の企業年金は「確定拠出年金(401k)」に移行している企業が多く、在職期間中に掛け金を使いながら金融商品を積み増し運用することで、自ら年金を増やすというような制度を採用しています。「今まで投資の素人だった人」に対して、運用に関する情報を提供することは非常に重要なのです。

投資の知識だけでなく、年金制度に関しても把握している必要があり、総合的な運用管理のために必要な資格となっています。確定拠出年金企業はこれからも増えますので、この資格を早めに取っておくことで様々な企業への就職・転職に役立つでしょう。

DCプランナー:試験詳細ページ




建設・不動産

「建築・不動産」関係は、これからも引き続き需要が伸びる業界になります。

そんな中、特定の資格に関しては人手不足も顕著であり、業務形態によっては有資格者が○人必要といった取り決めがあるため、資格を取得することは転職に際して有利となります。

資格に関しては、大きく分けて「不動産売買」「建造物設計」の2種類があり、目指す職種に合わせて集中的に取得しましょう。

【1】一級建築士

建物の設計管理に関して、最も重要かつ有名な資格が「一級建築士」です。この建築士の資格を持つことで、国土交通省の認可によって設計・工事管理といった建築に関する業務を行うことができるのです。

一級建築士の中には、建物の構造の設計を行う「構造設計一級建築士」と、建物に導入する設備等の設計を行う「設備設計一級建築士」があります。

一級建築士は小さな戸建ての家といったものではなく、高層マンションや超高層ビル,百貨店などといった比較的大型のもので、かつ高度な設計技術が必要とされる建築物の設計,工事管理を行うことができます。

受験資格には「実務経験」や「就学経験」が必要となりますので注意が必要な資格です。ただ、取得してしまえば影響力はズバ抜けているので、建築業に勤めたい方は学校などを活用して積極的に取得しましょう。

一級建築士:試験詳細ページ

【2】宅地建物取引主任者

建設不動産関連業界では資格は特に有用とされていますが、「宅地建物取引主任者」はかなり人気の国家資格です。一級建築士のような設計等に関係した資格ではなく、不動産の売却や購入といった不動産売買の法律に関わる助言ができる資格です。

この資格も法律上、宅地建物関係の商品を取り扱う企業に対して「事務所一件に対して5人に1人」が所有していなければならないという制度があります。企業としても「宅地建物取引主任者」の有資格者を欲しています。

また、この資格は単純な不動産売買だけではなく金融機関でも人気の資格なのです。金融機関が融資を行う際には不動産に関する知識も必須となるため、この資格を持っていることが金融業での昇進の助けにもなるわけです。

宅地建物取引主任者:試験詳細ページ




【3】土地家屋調査士

不動産の所有者や権利をはっきりさせるには登記が必要です。この「登記」の専門家になるための資格が「土地家屋調査士」です。登記の具体的な仕事は、土地所有者の依頼を受けて土地建物の調査を実行し、図面作成や不動産の表示などを行うといったものです。

この資格も、その応用範囲の広さから独立開業に大変役立つ国家資格であるため人気の資格です。ただその合格率は10%を切るほどであり、口述試験もあるため難易度が高く設定されています。

筆記試験に関しては「一級建築士」などの資格を所有することで免除される項目もありますので、「土地家屋調査士」を取得するまでの他の資格取得の流れをしっかりと考えましょう。

土地家屋調査士:試験詳細ページ

【4】管理業務主任者

マンションなどの管理に関する業務を行う際に、必要となる国家資格になります。この資格も法律上では、マンション管理会社に対して事務所ごとに数人の有資格者を設置することが義務付けられています。従って、この資格を持っていれば不動産関連でも即戦力と受け止められます。

有資格者は、管理受託契約の説明や受託した際の管理業務の処理状況に関する報告等を行うことができます。マンションに関しては建て替え需要などのニーズが高まりますので十分有効な資格の一つです。

管理業務主任者:試験詳細ページ




【5】不動産鑑定士

不動産関連の資格の中でも最難関といわれる資格が「不動産鑑定士」です。全国でも10,000人を切る程度の人数しかいないため大変重宝される資格です。

不動産を有効的に利用するための公示地価の調査業務など、適正な価格の設定が求められる重要な局面で役立つ資格になります。

名前の通り「不動産の価値」に関する業務がメインですが、公共の土地取得時の評価や会社合併時の資産の評価などといった細部に渡る専門的な業務が実施可能です。
その資格の強力さから、コンサルティング会社などの”独立開業”を行うこともできます。

不動産鑑定士:国土交通省ページ




経理職に人気の資格

実務的な能力を求められる経理ですが、仕事を行う上でも様々な知識が求められます。経理の資格取得はそのまま業務に活かせる上に評価もされやすいので要注目です。

【1】税理士

企業が最も注力しながらも人材を欠いているのが「税に関する職種」です。会社が関わる税としては「所得税」「相続税」「固定資産税」などがあげられます。

企業は専門の税理士に委託するようなケースが増えますが、社内である程度フォローできるということは強力な武器となります。対外的な対応はもちろん社内での税管理状況や社員への説明など、その知識を発揮するシーンはかなり多いのです。

この資格の大きなメリットは、何と言っても「独立が可能」なことです。資格を取得してすぐに開業というのは困難でしょうが、企業に所属しながら経験を重ねて独立開業なんてことも…。

「日商簿記」の資格知識が最低限必要で難易度は高いですが、国家資格の中でもかなり活用範囲の広い資格であることは確かです。

税理士:国税庁ページ



【2】公認会計士

会計に関する資格の中で、トップに位置するのがこの「公認会計士」です。単純な会計というよりも、監査や財務部、経理部などの上位の業務に携わる人向けの資格です。

社外の会計士に一任しているような、一般企業や公的機関への転職の場合にも有利になります。この資格も、会計事務所の開業などの「独立」に有利な資格です。

科目数は「9科目」と多いですが、経理として最大級のステップアップをしたいならば、チャレンジすべき資格の一つです。

公認会計士:試験詳細ページ

【3】日商簿記検定

応用範囲も広く、鉄板の資格が「日商簿記検定」です。「3級」程度のレベルはほぼすべての人が持っており、転職に活用するならば「2級以上」の取得を目指しましょう。

この資格の特徴は、経営状態や経理に関する幅広い知識が身につけられることです。

「3級」の場合は、会計・経理全般の基礎的な部分を抑えることができますが、やはりこれだけでは弱いのが実情です。「2級」になると、基礎に加えて工業簿記に関する知識も得ることができ、製造業系では必須と言える原価計算なども学ぶことができます。

日商簿記検定:試験詳細ページ
企業以外でも活用可能

企業での経理活動はもちろん、個人店などの経営サポートも行うことができるようになります。簿記2級以上の有資格者に対して手当がつくような場合もありますので、最初に取得しておくべき資格になります。

また、簿記の上位資格にあたる「税理士」や「公認会計士」を取得する際にも必須の科目ですので、レベルアップを目指す人は迷わず取得です。

【4】会計ソフト実務能力検定

現在では、ほとんどの企業でPCを使用した会計・経理処理を行っています。ですので、日商簿記の資格と合わせて取得しておきたいのがこの資格です。その名の通り、会計処理ソフトの使い方に関する資格であり、試験科目も「日常処理」「月次処理」「決算処理」などの集計等をこなすような内容となっています。

ただ、2015年度までで新規の検定試験を行うわないことが決まっています。過去認定された人については引き続き認定となりますので、下記ページを参照ください。

会計ソフト実務能力検定:新規試験の終了について

経理に関する一般的なソフトである「弥生会計」に関する資格は、この資格と別途「弥生検定」がありますので実務レベルの資格と考えて取得を目指しましょう。

弥生検定:試験詳細ページ




【5】BATIC(国際会計検定)

単純な簿記資格以外の追加要素として「英語」に関する知識も必要となる資格になります。企業のグローバル化に伴って、海外へ進出する企業も増えている状況ですので、こういった「英語」が絡んでくる資格は非常に有効です。

この「BATIC」は英語による会計処理の知識と、国際的な会計理論の知識を有するという証明を得られます。

試験自体は英語ができない人には厳しく、「英文簿記」「国際会計理論」という2科目を英語で受験する必要があります。そのような難易度の資格ですので、転職市場でもライバルは少ない資格です。活躍の場を世界に広げたい人は、要注目です。

まとめ:転職に役立つ資格と説明時の注意

資格は転職に有利ではありますが、注意しておくこともあります。それは取得している資格に一貫性を持たせるということです。

例えば、製造業に就職したいのに「証券外務員」「ファイナンシャルプランナー」といった金融系の資格を所有している場合は、面接官も「この人は何がしたいんだ?」という疑問を持つでしょう。

場合によっては、一貫性のない人物だと評価される場合もあります。うまく回答できる会話術があればいいですが、わざわざそのようなことに労力を割く必要はありません。

履歴書や面接の時に伝える所有資格は、たとえ複数の資格を持っていても「その業態にあったもの」を記載するようにしましょう。

何も全ての資格を履歴書に記載する必要はないのですから。