30代以上での未経験職への転職は想像以上に難しい
30代を超えてから年齢が上がるにつれて、「未経験転職」にはさまざまな覚悟が必要となってきます。
- なかなか転職先が決まらないことに耐える覚悟
- 給与待遇が下がる可能性が高いという覚悟
- 新しいことに取り組む覚悟
企業も貴重な中途採用枠を使って「即戦力」を欲っしており、求人票には具体的な求める人材が記載されています。そんな中、『履歴書』や『職務経歴書』などに求める経験が記載されていない応募書類は、人事も目を通すのを止めて次に移るでしょう。
自分が実際に即戦力となる経験者を雇いたい採用者側だとしたら、「未経験者=非即戦力」は、すぐに候補から外さないでしょうか?
とはいえ、安易に「未経験応募可」などの求人広告に手を出すと、待遇や業務内容に納得できないことが多いのも確かです。転職しても「やっぱりコレじゃなかった…」と、別の求人を探すことになりかねません。
それでも目標があって「未経験転職」をしたい人へ
とはいえ、真剣に未経験職種への転職を考えているならば、その考えは貴重で突き詰めていくべきです。自分が後悔をしないために!
ここでは、30代を超えていても未経験業界・業種にチャレンジしたい人向けに、わたしの経験や転職エージェントから教わったことを中心にやるべきことを紹介していきます。
【準備編】本当に「未経験」である必要があるのか?
【求人編】未経験職種に転職するのに必要なのはスキル・経験よりも…
【応募編】採用担当者のこと考えてますか?その書類は見られていないかも…
とにかく転職活動の大前提は「企業との〇〇」
遠回りせずに成功度をあげるならサポートしてもらう
まとめ
本当に「未経験職」じゃないといけないのか?
まず、未経験職への転職を決断する前に「本当に未経験でないといけないのか?」を考えましょう。
30代以上での未経験職の転職は、転職活動で苦労することもあれば、逆にすんなり転職できることもあります。ただ、転職してしばらく経った後に「理想と現実のギャップ」に直面する可能性があります。せっかく困難を乗り切ったのにコレでは悲しすぎます。
客観的な意見も入れて自己分析してみる
「仕事内容」だけで判断すると満足を得られないことが多いので、転職活動前でも転職活動をしながらでもいいので「価値観(自己概念)」を見つめ直しましょう。
- 親に「説明が上手い」って言われて営業選んだっけ
- あの仕事をやってる時は楽しかったな
- 報告会で褒められて報告するの好きになったな
- クレームにしっかり向き合ってお客さんが喜んでくれたな
など、仕事や過去の体験を通して「本来求める自分」がおぼろげながら見えてきます。「エゴグラム」「エニアグラム」「MBTI」などのツールを補助に使うのもありです。
ただ、それだけでは主観的な判断に走りがちなので、第三者の客観的な意見も取り入れましょう。両親や知人に自分がどんな人間か尋ねるのもいいでしょう。同僚に「自分は業務中にどんな時楽しそう?」など遠回しに確認する方法もあります。
また、転職エージェントやキャリアコンサルタント(ハローワークや専門組合)などの専門家に相談するのもいいでしょう。こういった分析の結果、やはり今の仕事は自分の理想とかけ離れているなら「未経験職」に目を向けてみるのもありです。
30代で未経験職に転職するための具体的な活動法
ここからは、「未経験に転職することを決断した人向けに、実際に転職活動を進める上でのポイントを説明していきます。
未経験職種・業界に転職するのに必要なのは「求人の情報力」
未経験職種や業界に転職しようと思ったときに、まず考えるのは「スキルや知識が無いし無理だな」ということでしょう。
しかし、そう悩む前に重要なことが求人があるか否かということ。自分でスキルとの一致を考えて求人を探しても見つかりません。それよりも、興味のある未経験職種の情報をもらった方が早いのです。
幅広く求人情報をもらうには転職サイトを利用
ざっくりとした情報でもいいから求人情報が欲しい。スカウトメールで随時情報が欲しい場合は「ビズリーチ」「リクナビNEXT」がオススメです。
ビズリーチ
現職および前職の年収が500万円以上の30代に特に役立つ転職サイト。スカウト企業も質・量ともに高レベル。経験を活かした転職をしたい人向けです。
ビズリーチでの転職活動
簡単な「職務経歴」「転職先の希望」の記入でスカウトメールが届きます。気になる求人を所有するエージェントに支援依頼も可能。依頼しない限り電話はありません。求人検索企業に自分で応募することも可能。
公式サイト:https://www.bizreach.jp/
最初はざっくりとした情報を記載すればいいので登録は5分ほどです。その後、自分の経歴や希望する「勤務地」「行きたい業界・業種」などを充実させると、その条件を満たした「スカウトメール」が随時届きます。
気になった求人があれば、エージェントサービスも利用できますしメールの受信設定をすれば過剰なメールは届きません。
自分の未経験職での可能性をピックアップしてもらう
未経験職を目指す場合にも、やはりある程度「自分のキャリアとマッチ」した方が転職の成功率は上がります。とはいえ、どの部分のマッチが必要かは判断できません。
そこで活用するのが「転職エージェント」です。わたしも技術職だったのにも関わらず、「営業」「コンサルタント」などの未経験の非公開求人を紹介いただきました。
リクルートエージェント
非公開求人数とサポート実績はトップクラス。「○社の求人ありますか?」「転職しようか悩んでいます」など気軽な相談も可能で、メール主体の連絡も可能。
リクルートエージェントとの関わり
担当者はフラフラするわたしを諦めずに支援してくれました。転職に成功したのはこの人のおかげです。企業からの情報収集(選考内容、不合格理由など)や、書類・面接対策はとくに助けになりました。
公式サイト:https://www.r-agent.com/
doda
人材業界第2位の大手求人サイト。30代以上の転職でも文理ともに充実したフォローを受けられます。女性のサポートにも定評があります。
dodaとの関わり
わたしの担当者は、1ヶ月で2社の選考を加速させてくれました。面接前後のフォローも丁寧。他のサービスで採用が決まったのに激励してくれたのは嬉しかったです。
公式サイト:https://doda.jp/
求人情報に常にアンテナを張っておく
これらのサービスは、未経験職種や業界に「今すぐ転職するため」に登録するというよりも、以下のことを客観的に把握するのに役立ちます。
- 自分の市場価値
- 自分が未経験で転職できる企業はあるのか?
世の中の景気はもちろん、新型コロナウイルスの時のような外部要因で、求人市場での価値が大きく変化することもあります。常に求人情報にアンテナを張っておきましょう。
見つけた求人に応募する前に認識しておくべきこと
求人が見つかって応募をする際に注意して欲しいのが、採用側が求める人材との“ズレ”を認識することです。
未経験業種への転職を目指して活動をしている時点で、相手が求めている職務経験とは“ズレた”状態でスタートしていることがほとんどです。そのことを認識するのが一歩目です。
しかし、認識している人でも実行動にズレが生じてきます。それは「応募書類の記載内容が見当違い」ということです。
応募書類のズレでいきなり不採用になる
そもそも業務経験でマッチングが違うのに、応募書類には自分が前の会社で経験したことをツラツラと書いているケースが実に多いです。実際にわたしも、未経験職への転職活動時は普通にこれをやっていました。
わたしの場合は「製品開発」が主たる経験でしたが、例えば「営業」の求人募集に応募する際に「○という製品を開発し、△万円という売り上げに貢献した」と書いてもマッチングポイントがありません。
採用者側としても、その応募書類では営業としての適性が想像できないため、「営業職」として採用のしようがないのです。
自分の経験と希望職種の接点をアピールする
ズレをなくすためには、自分の業務経験と希望する職種とのマッチング(接点)を記載しましょう。
「○という製品を開発し、営業との顧客周りで自ら製品プレゼンと価格交渉を行って採用に至った。その後の製品保証などのフォローも直接顧客とやり取りを行い、継続的な受注を得た。」
といったように「営業職の要素」にある「顧客交渉」「顧客フォロー」といった業務を行った経験があるということを最低限書く必要があります。
転職は企業と応募者とのマッチングが最も重要
転職において採用の決め手となるのは企業と応募者のマッチングに尽きます。マッチングといっても以下のように様々です。
- 実務レベルのマッチング
- 考え方のマッチング
言い換えれば「共通点」ということですが、異業種での経験をただ説明されても採用する側としては共通点や活躍の可能性を見出すのは難しいです。あなたでもそうではないでしょうか?
採用側の人事も、忙しい中で応募書類を5-10分程度の時間を掛けながら次々に確認しています。その短い時間で目を惹く必要があるのです。
少しでも興味を引くために、自分と応募企業との接点をまず探してください。簡単ですが、以下のようなものはまず必要となります。
「未経験でも転職したい!」のならば、何らかの接点は見出せるはずです。接点が見出せないならば、まだ動くには時期が早いので接点を作る行動をすべきです。
焦る必要はありません。無駄に活動をするよりも「完全な未経験を脱却」する準備をしましょう。
未経験でも志望職との接点を見出すコツ
マッチングのポイントを見出すには、まず自分の「経験」から接点を探りましょう。
『職務経歴書』の作成時にもよく使う手法ですが、「特定の課題に対処した経験」が最も語りやすいです。なぜなら、人は自分が体験したことしか自信を持って説明できないからです。
空想や自分の考えだけでは“浅さ”がすぐ目につきます。「体験」をうまく接点としましょう。
その際には、その課題や置かれた状況に対して「どのようにPDCAで対応したか?」と考えるといいでしょう。
- P(PLAN):課題に対してどう解決目標・方法を設定したか?
- D(DO):設定した対策をどのように実行したか?
- C(CHECK):実行によって、その課題に対してどのような結果を得られたか?
- A(ADJUST):一度でうまくいっていないなら、どう対策を調整し、再度取り組んだか?
といったように「P→D→C→A→P→D→…」で説明すると伝わりやすいです。簡単な例をわたしの経験であげてみます。(開発職なので偏った事例で申し訳ないです。)
【発生課題】製品開発の試作時に実験の際には無かった欠点が発生した。
- P(PLAN)
- 材料の中の○が怪しいので、2週間後の試作会議までにテスト機での検証を終わらせる。
- D(DO)
- 実験で○の材料の有無や添加量を変更し、テスト機で5水準を検証した。
- C(CHECK)
- 材料○の中の、特に△という成分が怪しいことがわかった。
- A(ADJUST)
- 材料メーカーに○材料の△変更品を手配し、さらに検証テストを行った。
実際に経験したことなので、面接で「何で○という材料が怪しいと思ったの?」と言われた場合、その材料がどういった特性を出すものかも把握しているので説明できるわけです。
「経験の中で培った経験や考え方が応募先で活かせる」という伝え方がベターです。嘘は絶対にバレますし、入社した後に自分自身が苦しむことになります。接点を「創る」のではなく「見つける」という視点を忘れないでください。
限界を感じたら転職エージェントを活用してとにかく相談する
独自に自分のことを掘り下げながら、自分で企業を探し続ける転職活動には限界があることは頻繁に説明してきました。未経験業種への転職についても、転職エージェントのサポートを受けた方が早いですし、成功確率も上がります。
何よりも、あなたは30代以上のはずです。あなたが望むような求人はライバル達も狙っており、遠回りしていたら転職の成功率は下がっていくのです。
自分に「転職先」があるか可能性を知っておくべき
ただし、サポートを得られるのが難しいのも事実。アドバイザーも未経験者のサポートはかなり骨が折れます。しかし、それでも応募はしましょう。
その業界に詳しいエージェントから情報を得るだけでも助けになりますし、詳細な情報を引き出して独自に転職活動を行うこともできます。
転職エージェント利用のメリットを活かすのも転職力
応募書類を提出する際にも、エージェントから志望先に以下のことを伝えてもらえます。「書類+α」の応募が最初からできるのです。
- ある程度の人柄
- キャリアと求人のマッチ度
- 志望度がどれほどあるか?
もし採用面接で不採用になった場合にも、不合格の理由を教えてもらえるので改善の相談ができます。自分で応募した場合は、志望先の企業から「今回はお見送りとさせていただきます(=不合格)」と伝えられて終わりとなることがほとんどです。
未経験職への転職は中途半端な行動ではなかなか成功しにくいので、自分に利するものはあらゆるものを活用しましょう。
まとめ:30代以上での未経験転職
30代以上での未経験転職がハードルが高いのは事実。わたしの場合は、未経験職への転職活動に6連敗し、結果的に30代で経験を活かした転職を決意しました。
仕事を選ばなければいくらでも転職先はあるかもしれませんが、適当に選んだ仕事ではさらに先のキャリアに影響します。
「完全未経験」への転職の場合は、ある意味キャリアをリセットすることに等しくなります。それ相応の覚悟を持って取り組んでください。
転職は兎にも角にもマッチングです。接点を意識して、今後の自分のキャリアを見越した活動をオススメします。